【馬医金満のマネー通信】JDIは半沢直樹の「帝国航空」か? 逆風下でコロナが導くヘルスケア市場

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   みなさん、こんにちは。馬医金満です。

   経営再建中の「日の丸」液晶パネルメーカー、ジャパンディスプレイ(JDI)が2020年度第1四半期決算を、9月10日に発表しました。今年6月までの3か月間の決算は、最終損益が160億円あまりの赤字です。

  • 新型コロナウイルスの感染拡大の影響でヘルスケア市場への道が拓けたかも……(国立感染症研究所提供)
    新型コロナウイルスの感染拡大の影響でヘルスケア市場への道が拓けたかも……(国立感染症研究所提供)
  • 新型コロナウイルスの感染拡大の影響でヘルスケア市場への道が拓けたかも……(国立感染症研究所提供)

「日の丸液晶」存続に向け、厳しいリストラの嵐

   JDIによると、第1四半期(2020年4~6月期)の赤字は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、自動車向けの液晶パネルの販売がふるわなかったことが影響したとのことです。

   同社は、日立製作所、東芝、ソニーの液晶パネル事業を統合してできた会社で、主にスマートフォンや車載に使われる小型ディスプレイを製造しています。周知のように、液晶パネルは韓国や台湾勢との熾烈な価格競争による下落で大苦戦しています。

   そのため、各電機メーカーのディスプレイ事業のうち、スマホ向けに利益が見込める中小型液晶パネル事業を、政府系投資ファンドの産業革新機構の旗振りで再編し、2012年4月に事業活動を開始したたわけです。

   2014年3月に東証第1部に上場。それにより、産業革新機構の議決権所有の割合が約87%から36%へと低下しましたが、それでも「日の丸液晶」であることには変わりません。

   とはいえ、経営は危機的な状況といえると思います。2019年6月には白山工場(石川県白山市)の停止や1200人の希望退職の募集、業績低迷を受けた、日立製作所出身の月崎義幸社長の引責辞任。さらには資本支援の交渉を進めていた台湾企業2社が相次いで離脱。8月には19年6月末時点で772億円の債務超過に陥ったことを発表したのです。株価も急落しました。

   なんとなく、ダブりませんか? ドラマ「半沢直樹」に登場する「帝国航空」と(帝国航空は、日本航空をイメージしているのでしょうが......)。政府系産業再生ファンドが関与していなければ、なんて考えてしまいます。

課題は「薄利多売のビジネスモデル」からの脱却

   こうなると、赤字決算といわれても、2019年度までで6年連続の最終赤字に陥っているのですから、驚きもあまりありません。

   現在、JDIはシンガポールに本拠を置く独立系の資産運用会社、いちごトラストから資金支援を得て、再建を進めています。債務超過の解消や不正会計問題への対応に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるなか、立て直しを軌道に乗せられるかが生き残りの課題です。「日の丸液晶」のメンツにかけて、です。

   また、現状のスマートフォンなどのモバイルと車載用液晶パネル事業は、売上高全体の90%(19年度実績)を占めていますが、現状では薄利多売のビジネスモデルとなっています。

   こうした背景の中で、同社は需要変動の大きい液晶パネル依存から脱却し、安定収益を得られる新規事業の育成を急いでいます。ヘルスケアやメディカル分野や、セキュリティ分野と親和性が高いとのことで、さらにヘルスケア分野は新型コロナウイルスの感染拡大によって新たな需要が続々生まれている有望市場であるため、従来の液晶パネル技術を応用した生体センサーや非接触操作型ディスプレイを武器に、市場参入を狙っています。

   まだまだ、これから!
では、また来週!(馬医金満)

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