成績を上げやすい支店と上げにくい支店
私が働いていた支店は他府県。地元であれば、すでに口座を保有しているお客様が多く、たくさんの預金を預けてもらっている。しかし、私の場合まずは口座を作ってもらうところからスタートしなければならなかった。地元ではないので、支店数も少なく利便性が悪い。そんな環境なのでメインバンクとして利用してもらうのは至難の技であった。
支店の置かれた環境が環境だったので、個人成績で上位になるなんて不可能だと最初からあきらめることにした。
地元の富裕層が多い支店で勤務していれば、大口のお客様も多く自然と成績が上がっていく。まだ経験が浅い営業行員もそれなりの成績を出すことができたので、少し勘違いしてしまう若手行員も少なからずいた。営業成績が上がれば周りからもちやほやしてもらえる。そうすると、さらに自分の成績をあげようと必死になるという構図ができ上がっていた。
また、多くの知識や経験がなくても、本部の研修を受ければ商品のひと通りの説明はすることができるようになる。その話法を繰り返すことで成績を伸ばしている行員もいた。手数料が大きい商品を選択して、その商品ばかり提案していくというやり方だ。
こんなやり方が目立ってきたからか、銀行では手数料が高い商品を選択して販売していると世間から言われるようになった。そして今では、個人成績の金額での評価が廃止されたりと評価方法が変わってきた。それでも最終的には銀行の利益になるのは手数料収入。営業行員の意識がどこまで変わっているのかはわからない。