36歳 家事もなく、会社の仕事も雑用ばかり
目の前の介護と、会社での仕事に追われ、自分の結婚やライフプランは後回しになってしまった、というM希さん。その後10年、この生活を続け、お父さまを看取った時には、気がつけばM希さんは36歳になっていました。
「会社の同期の女性たちは、ほとんどがもう結婚して会社を辞めてました。何人か残ってる人たちは、結婚はしたけど、家計の足しにしたくて事務職を続けてる人ばかり。そういう人たちは育児や家事に忙しいから、仕事なんてむしろ一般事務のほうが都合が良いって。でも私は結婚すらしてないし。父を看取ったから家事もやることないし。会社では、相変わらず経費精算とか郵便物の仕分けとかの雑用ばかり。正直、どこにモチベーションを持てばいいのか途方に暮れてました」
36歳から焦って婚活もしてみたそうですが、何にもモチベーションを持てないM希さんは、相手男性とも話が弾まず、愚痴の聞き役になってもらうだけとなり、結局どの人とも自然消滅になってしまったそうです。
そんなある日、ぼんやりと会社のイントラを見ていたら、「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)研修の参加者募集」というお知らせが目にとまったといいます。
「最初はRPAって言葉すら何のことかわからなかったんですけど、このまま経費精算とか郵便物の仕分けだけしてても、先につながらないですし。今の現状を打破できるなら、なんでもいいと思って、よくわからないままに応募したら受かったんです。研修に行ってみたら、参加者のほとんどが女性だったので驚きました。しかも、私がやってる、経費精算とか出張手配とか、そういう業務がRPAと相性がいいって言われて」
難しそうと思っていたRPA研修に来ていたのが、ほとんど自分と同じような女性たちだったことが、M希さんに勇気を与えました。