みなさん、こんにちは。丸ノ内ミカです。
経費の精算や郵便物の仕分け、コピー機のトナー交換、文具の発注--―。令和の現代でも、多くの女性たちが担っている「一般事務」。こうした一般事務の仕事は、「結婚や出産を理由に、短期間で仕事を辞めるであろう腰掛けOL」を想定して作られた仕事です。
ゆえに付加価値が低く、やってもやっても昇進や昇格に結びつく内容とはほど遠く、仕事というよりも、「花嫁(専業主婦)になる前の社会勉強」ぐらいの位置づけです。実際、「腰掛けOLから専業主婦」が王道コースだった時代には、「一般事務」は企業の中で問題なく機能していました。
一般事務は昇進や昇格に結びつかない
しかし、時代は令和。女性を取り巻く環境は大きく変わり、女性たちの意識も変わり、寿退社は王道ではなくなり、長く仕事に従事する女性が増えました。
それにも関わらず、「数年で辞める腰掛けOL」を想定した一般事務は、相変わらず古色蒼然とした形で会社の中に残り、いまだに多くの女性が従事しています。今も昔も変わりありません。
やってもやっても昇進も昇格もない。仕事が蓄積にならず、浪費にしかならない。一般事務はまるで前時代の遺物のようですが、腰掛けのつもりでやっていた一般事務から、「事務のエキスパート」に変貌を遂げた女性がいます。
丸の内サバイバー女子会のメンバー、M希さんです。子どもの頃から本が好きな文学少女で、国語や英語は得意だったものの、理数系はさっぱりダメ。都内の女子大の国文科を卒業して、大手企業に一般事務として入社しました。
「子どもの頃の将来の夢は、ベタなんですけど『お嫁さん』。自分の子どもに絵本を読んであげられるお母さんになりたくて、女子大でも児童文学を専攻してました。もちろん、若いうちに結婚して会社は辞めるつもりでいたので、会社での仕事がコピー機のトナー交換とか、郵便物の仕分けとかの雑用でも、別に構わないと思ってました。私の人生の目的はそこじゃないから、って」
ところが人生には思いもよらないことが起きるもの。健康に問題のなかったM希さんのお父さまが50代で突如、脳梗塞に倒れて自由の利かない健康状態となってしまいました。弟は就職して、すでに家を出ていたので、お父さんの介護はお母さんとM希さんの仕事となりました。