「流山おおたかの森」が3位に
新型コロナウイルスがもたらしたとみられる「脱東京」のトレンドは、不動産会社が消費者調査でランク付けした「住みたい街」の調査でも明らかだ。
中古マンションのリノベーション事業「ゼロリノベ」を展開する株式会社groove agent(通称ゼロリノベ)が8月に行った調査では、おなじみの街の名前に混じって意外な地名がランクインしている。
調査は20~40代のファミリー層1000人を対象に、8月24、25日にインターネットのアンケートを実施。9月12日に公表した。
この調査の「住みたい街(駅)」の1、2位は「横浜」「吉祥寺」の常連が占めたが、3位は「流山おおたかの森」。流山おおたかの森は、千葉県流山市にある新規開発のエリアで、5年ほど前から人気上昇中。つくばエクスプレスなどで都心と結ばれアクセスも良好だ。テレビの人気番組などでも取り上げられ知名度も上がっている。
しかし、コロナ以前の他社の調査では49位で、コロナをきっかけに注目度がグンと高まった。「ゼロリノベ」調べの4~10位は、鎌倉、恵比寿、中目黒、町田、柏、大宮、みなとみらい、浦和の順で、郊外の地名が並ぶ。
一方、住宅・不動産ポータルサイトの「LIFULL HOME'S」で知られる株式会社LIFULLがサイトのユーザーを対象に、4~8月に「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング」では、水戸、本厚木、宇都宮、葛西、大宮がトップ5。水戸や宇都宮などが上位に入ったのは、東京から近すぎず遠すぎない場所でしばらく借りて住み、コロナ禍の今後を見極めようとする意向の反映とみられる。
住民基本台帳人口移動報告で住民票の転入届に基づき、国内の人の動きをモニターしている総務省では、
「今後も新規陽性者数の増減によっては、新規陽性者数の多い地域への移動を抑制する動きが起こる可能性が考えられる」
としている。
出口が見えないコロナ禍。東京一極集中の終わりの始まりを加速することになるのか――。政府は東京一極集中是正を目指して地方創生を進め、東京都区部の私立大学の定員厳格化や、省庁・企業の地方分散を推進してきたにもかかわらず、東京を中心とした首都圏への転入超過が続いていた。
みずほフィナンシャルグループ系列のシンクタンク、みずほ総合研究所は2020年6月に発表したリポートで、東京圏へ転入超過数の急減について「地方創生への大きなヒントとなりそう」と指摘した。