「今年12月で49歳になるんですよ。先日、会社を辞めまして、次の仕事が見つかるまで知り合いの会社を手伝っています。これまで10回以上、転職しています。年収は上がったり、下がったり、なかなか続きません。なぜかいつも人間関係のトラブルに巻き込まれてしまうんですよね。しかも、なぜか悪者扱いされて......。運が悪いとしか言いようがありません。50代はどうなるんだろうな。ステキな50代を迎えたいなぁ、と思いつつも正直先が見えません」
Sさん、ずいぶん人間関係のトラブルが多いようですが、原因は何だったのでしょうか。お話を聞けば、かなり理不尽なことがあったようですね。
「理由はまったく、わかりません」
転職して人間関係をリセット...... それでもダメなワケ
人間関係で退職することが悪いこととは、決して思いません。私もたくさんの愚痴が出るような会社はイヤですし、精神的にも追い詰められたりしたら退職を選ぶかもしれません。でも、20代であれば「あの頃は考えが幼すぎて、我慢できず退職してしまった」と笑い話になるかもしれませんが、50代を目前にしての転職となると、さすがに思うようにはいかないでしょう。
Sさん、もしかしたら人間関係がイヤなら転職してリセットすればいいという考えをお持ちではないですよね。そうであれば、今からでも遅くはありません。早急に改めたほうがいいと思いますよ。新しい会社に移ったとしても、これまでと同じように、次の職場でも新たな人間関係のトラブルが起きる可能性も否めません。
それに、これまでの人間関係のトラブルの原因がどこにあったのか、把握されていないようですし、お話をお聞きしていると、「上司のせい」とか「○○のせい」とか、原因は別にあるって、職場環境のせいにしているようにも感じられます。10回以上転職されて、それでも人間関係のトラブルが続くということは、決して「運が悪い」で片づけられることではないはずです。
まずは、外ではなく内に目を向けてみましょうよ。誰かのせい「○○のせい」と原因を外に向けても何も変わりません。
相手とぶつかったシーンを振り返ってみる
「そうはいっても、どうすればいいんでしょうね」
Sさん。若い頃、彼女に振られた時も人のせいにしていませんでしたか?
「......していましたね。自分のせいだとは思いませんでした」
でも、それはSさんがそう思いたかっただけなんじゃないですか。
「そう言われると......」
Sさん。人間関係がうまくいかない原因は、どこにあるのでしょうか?
たとえば、「相手が怒っているのは、自分に原因があるかもしれない」と、ご自身で振り返ったり、気づいたりすることはありませんか。確かに自分の口調はキツイな、とか。汚い言葉遣いしちゃったなとか。相手の話をまったく聞いていないなとか。
そう考えることができたら、次は相手の話をまずは聞いてみようとか、ひと呼吸おいてから話そうとか、改善できることが浮かんできますよね。すると、ふだん思っていないことが出てくるかもしれません。
失敗は誰でもします。トラブルが起きた時は、外だけに原因を探すのではなく、自分(内)にも目を向けてみることもやってみましょうね。
お互いがそうやって歩み寄れれば、人間関係が必要以上にこじれることはなくなって、いくらかでも気持ちが前向きになれるように思いますよ。
シニア転職で大事なことは「これまで何に気持ちが動いたのか」
それにしても、「転職10回以上」はちょっと落ち着かない気がしますね。でも、転職回数が多くなるのは、人間関係だけが原因だけでしょうか。これまで話をお聞きしてきましたが、Sさんのお仕事に共通点を見つけることができませんでした。
「どんな仕事をしている時が楽しかったですか?」
「どんな時に達成感を感じましたか?」
「何を軸に転職活動を行ってきましたか?」
Sさん、面接みたいな質問になってしまいましたがいかがでしょう?
「まずはお金ですかね。お金を軸に選んでいます」
お金だけ、待遇だけで転職してしまうと、何かモヤモヤを感じた時にその仕事に対する思い入れも少ないため、気持ちがすぐに切れてしまいます。
人生100年時代。50代は残り半分あるので、まだ先は長いです。最後の転職にならないとしても、自分のキャリアにプラスになる、働きがいを持てる、そんな転職活動にしましょうよ。
50代から、まったく新しいことを始めるのは簡単ではありません。この先何をやりたいのかではなく、これまでどういうことに興味を持っていたのか、何に気持ちが動いたのかを軸にして転職活動を行っていきましょう。
まずは人間関係に対する考えを見直して、自分を見つめる時間をつくりましょう。そのためのお手伝いはしますよ。Sさん、ステキな50代に向けて頑張りましょう。(ひろ子ママ)