「釣りマニア」なら知っている! 店内に入ると果てしなく広がる生物のDeepな世界(Vol.16「鳥海書房」)

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時間も場所も超えた空間

   海外から来た本に載っている「日本にはない植物」の図が、江戸時代に作られた日本初の植物図鑑に描き写されていることなどもあるそうだ。

「おもしろいですよね」

と、二つの図を指し示しながら鳥海さんは話す。

「古本の持ち味の一つに、時も場所も超えられるということがあると思います。本棚にも偏りを出さず並べるようにしていて、お客さんの好奇心をくすぐり『思わぬ発見』に繋がってほしいと思っています」
「薬用植物図譜」(ヨハン・ウィルヘルム・ヴァイマン 1739年)と「本草図譜」(岩崎灌園 1786-1842年)
「薬用植物図譜」(ヨハン・ウィルヘルム・ヴァイマン 1739年)と「本草図譜」(岩崎灌園 1786-1842年)

   お客さんの期待に応えるために、鳥海書房のブックカバーには釣り人としても名高い画家・永田一脩氏の魚拓が印刷されている。鳥海書房では、釣り関連の書籍が日本でも有数の品揃えを誇る。釣りに関する本を目当てに来店する釣りマニアも多い。

石鯛の歯までしっかり見える、美しい魚拓
石鯛の歯までしっかり見える、美しい魚拓

   動植物ものは子ども向けの本も豊富で、親子連れのお客さんも多いそうだ。足繁くお店に通っていた子が大きくなって博物館に勤めるようになったという話を聞かせてくれた。

   学ぶ喜びを大切にする、鳥海さんの温かいサポートを想像させるエピソードである。フロア奥の書庫には数えきれないほどの本が置かれ、読み手を待ってウズウズしているよう。

なかざわ とも
なかざわ とも
イラストレーター
2016年3月学習院大学文学部卒。セツモードセミナーを経て桑沢デザイン研究所に入学、18年3月卒業。趣味は、宝塚歌劇団、落語、深夜ラジオ、旅行。学生時代より神保町に惹かれ、現在フリーペーパー「おさんぽ神保町」の表紙や本文のイラストを手掛けている。1994年、東京都生まれ。
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