コロナ禍でGDP減少「世界的に子どもの貧困は増える」
スキルは「PISAテストの読解力・数学分野で基礎的習熟度に達している15歳の生徒の割合」と「『すぐに友達ができる』と答えた15歳の生徒の割合」をベースとしている。PISAテストは、OECDによって15歳児を対象に定期的に行われる国際的な学習到達度調査だ。
「PISAテストの読解力・数学分野で基礎的習熟度に達している15歳の生徒の割合」で、日本は72.9%と平均の62.3%を上回った。最上位国はエストニアの78.9%で、次いでアイルランド、フィンランドとなった。
「『すぐに友達ができる』と答えた15歳の生徒の割合」では、日本は69.1%で平均の75.5%を下回った。最上位はルーマニアの82.7%だった。チリ、日本、アイスランドの順で、この分野で「最も自信のない子どもたち」となった。
こうした結果、スキルの日本の順位は38か国中27位だった。これらを総合した順位は20位。ランキングでは、オランダ、デンマーク、ノルウェーが、子どもが住む場所として、最も順位の高い国々という結果となっている。
ユニセフは、
「日本の子どもは生活満足度の低さ、自殺率の高さから『精神的な幸福度』が低い一方、『身体的健康』では経済的にも比較的恵まれていたが、学校のいじめや家庭内の不和などを理由に幸福を感じていない実態が明らかになった」
と、結論づけている。
さらに、この報告書で注目すべき点は、ランキングに使われたデータが新型コロナウイルス発生前のデータであり、新型コロナウイルスの発生により2020年前半には報告書の対象国のほとんどが100日以上学校を休校にし、厳しい外出制限政策を取ったことをあげ、
「家族や友達を失うこと、不安、外出制限、サポートの欠如、学校の休校、仕事と家庭のバランス、保健サービスへのアクセスの不足は、パンデミックによる経済的損失と合わさり、子どもたちの心身の健康や成長、そして幸福度にとって、大きな影響がある」
と、指摘している。
新型コロナウイルス感染拡大以前の子どもの貧困率は41か国の平均で20%だったが、これらの国のほとんどで2年間にわたってGDP(国内総生産)が減少すると予想されているため、
「政府が早急に改善策を講じない限り、子どもの貧困は増加する」
としたのだ。
新型コロナウイルスの感染拡大は、経済的なダメージだけではなく、子どもの幸福度にも影響を与える可能性がある。今後の子どもたちへの影響に、注意が必要だ。(鷲尾香一)