若手社員ほど在宅で伸び伸び仕事! そうではなかったリモートワークの真実(西野一輝)

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   コロナ禍の影響で在宅勤務が続きそうな人がたくさんいます。

   会社の方針で年内は在宅。あるいは在宅を基本として出社することがなさそうな状況になって、職場の上司や同僚と会う機会が壊滅的にない状況。このような働き方を昨年(2019年)の今ごろに想像していた人は誰もいなかったことでしょう。

   余談ですが、在宅勤務が続くことを覚悟してリモートワークができる部屋を確保すべく、広い間取りに引っ越す動きが出てきたようです。これまで不人気であった、駅から遠いけど広めのマンションや一軒家の購入で急激に業績を回復している不動産会社があるそうです。コロナが会社の救世主になっているケースもあるのですね。

  • 在宅勤務会が増えてコミュニケーション量が減っていませんか?(写真はイメージ)
    在宅勤務会が増えてコミュニケーション量が減っていませんか?(写真はイメージ)
  • 在宅勤務会が増えてコミュニケーション量が減っていませんか?(写真はイメージ)

職場のコミュニケーションの低下が原因

   さて、話を戻して、在宅勤務が続く状況は、これまでと違ったモチベーションの低下を生んでいるようです。株式会社empheal社の調査によると、在宅勤務で3割以上の人がモチベーション低下しているとのことですが、年齢的には30代や40代よりも、20代の低下で顕著。この世代はネットリテラシーが高く、遠隔コミュニケーションに抵抗が低いように思えるので、意外な結果ではないでしょうか?

   今回はこの20代は在宅勤務でモチベーションが下がりがちな要因を掘り下げてみたいと思います。

   モチベーションが下がったのは、社内コミュニケーションの量の低下にあるようです。20代の社員は、上司や先輩社員との関わりが増えることが面倒と考えているに違いない。だから、在宅勤務になって関わりが減ることがむしろありがたい。モチベーションも上がるくらいではないか――と考えてしまいがちですが、違うようなのです。

   取材で20代の社員に話を聞いてみても、職場とのコミュニケーションが減ったと感じている人はモチベーションが下がっていました。

   その一例として広告代理店勤務のDさん(25歳)は、在宅勤務が年内まで続くことが確定していますが、モチベーションが大きく低下。転職を考えていました。この会社ではコロナ前までは上司や先輩社員から「頑張っているか」と声がかかり、退社後に居酒屋で1杯やりながら、仕事の不安を解消する社風。対話の機会が多かったかのですが、コロナでいきなり放置状態になっていたようです。

会わなくてもコミュニケーション量は減らさない

   Dさん曰く、

「いきなり、誰にもみられていないように思える環境の変化です」

とのこと。

   確かにDさんの上司や先輩社員はWEB会議の活用が苦手のようで、会社からの指示で行うリモートによる面談も短時間で済ませてしまう状態。「コロナが終息したら飲もう」と言ってくれますが、それは何時になるのか? 環境変化に対応したマネジメントができていないのでコミュニケーションの量が低下。モチベーションが下がる状況を生み出していると思われます。

   20代は社会人経験が少ないので、仕事に関する不安を日々抱く可能性が高い時期です。各所調査を眺めても、将来に対する不安、仕事に対する不安、キャリアに対する不安など漠然とした不安を抱くのが20代ではないないでしょうか。

   筆者も20代にコロナに遭遇。在宅勤務になり、会社とのコミュニケーションが少なくなれば不安を抱いて、モチベーションは下がったように思います。対面が難しければ、メールや動画で仕事ぶりを共有。問題点のアドバイスや悩みを聞く機会をつくるべき。働く環境が変わってもコミュニケーションの量を落とさないようにケアすべきでしょう。

   ちなみに、上司も若くて、在宅勤務も部下との対話をこまめにリモートで行っている会社の若手社員に話を聞いたときには、モチベーションが低下したとの話を聞く機会は、ほぼありませんでした。

   会社と距離を埋めるための努力を行えば、在宅でもモチベーションが下がることは避けられるということなのでしょう。(西野一輝)

西野一輝(にしの・かずき)
西野一輝(にしの・かずき)
経営・組織戦略コンサルタント
大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000人以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている。
著書に、「モチベーション下げマンとの戦い方」(朝日新書)がある。
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