新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛期間(2020年3月)以降に、家庭菜園やベランダ菜園を始めた人は、約3割(29.6%)にのぼることがわかった。野菜や花などのタネや苗を取り扱うタキイ種苗(京都市下京区)が、「2020年度 野菜と家庭菜園に関する調査」をまとめた。「野菜の日」(8月31日)の発表。
コロナ禍にあって、家庭菜園を始めた人が増えたことでタキイ種苗の種や苗の売れ行きも好調で、同社の広報担当者は「ゴールデンウイーク前後から、ホームセンターや園芸ショップなどで、野菜の種や苗を中心に売れたようです。通販のお問い合わせも増えました」と話した。
在宅時間が増え、「趣味として楽しむ」人多く
調査によると、現在家庭菜園を行っている人(n=159人)に、家庭菜園を始めた時期を聞いたところ、「今年の夏以降」(2020年6月以降)が10.1%、「今年の春」(20年3~5月)が19.5%と、合わせて29.6%が「外出自粛期間以降」(2020 年3 月以降)と答えた。
「昨年~今年の冬」(19年12~20年2月)が4.4%、「昨年の秋」(19年9~11月)が1.3%、「昨年の夏」(19年6~8月)が1.9%、「昨年の春」(19年3~5月)が0.6%だった。
タキイ種苗は、「在宅時間が増えたことなどが影響していると考えられます」としている=下図参照。
また、1年以上継続している人(2019年8月以前の合計)は64.8%と、6 割以上となったほか、現在、家庭菜園を行っている人のほぼ全員(96.2%)が、「(家庭菜園を)今後も継続したい」と答えている。
「家庭菜園を始めた理由」をみると、「趣味として楽しむため」が56.0%で最多。次いで「新鮮な野菜を食べるため」の43.7%、3位は「家計の節約のため」の29.0%が続いた。
一方、「家庭菜園で野菜を育てている(育てていた)理由」でも、トップ 3は同じ項目が並んだ。ただ、「家庭菜園を始めた理由」と「野菜を育てている(育てていた)理由」を比べると、「新鮮な野菜を食べるため」と答えた人の43.7%がコロナ禍をきっかけに「家庭菜園を始めた」人。48.0%が「野菜を育てている(育てていた)」人で、前者より4.3ポイント上回った。新鮮な野菜を口にするのは、実際に育ててみてから実感することが多いようだ。
また、「家計の節約のため」と答えた人は、「家庭菜園を始めた」人が29.0%で、「野菜を育てている」人は29.3%だった。特に30代女性(いずれも45.8%)の節約意識が高かった。
さらに、コロナ禍の今年ならではの理由として考えられる、「自宅で過ごす時間が増えたため」は7.0%で、家庭菜園を始めた理由の9位だった。
食品ロス削減7割が「意識」も、野菜はレジ袋で包装してほしい
調査では、「食品ロス問題」への意識についても聞いた(n=600人)。それによると、「強く意識している」と答えた人は16.7%、「ある程度意識している」が55.5%で、合わせて72.2%と7割以上が「食品ロス問題」への意識をもって生活していることがうかがえる。
野菜の食品ロスを削減するため、個人として実践していることでは、「食材を無駄にしないようにしている」が77.2%、「傷まないうちに消費する」が53.8%、「食べきれる量だけ購入する」は44.2%が上位を占めた。
全体的に、男性より女性のほうが食品ロス削減のための行動・意識があるよう。全体の91.0%の人が食品ロス削減のために、何らかの行動をとっていたり、意識をもっていたりすることがわかった。
7月からは、プラスチック製の買い物袋(レジ袋)の有料化がスタートしたが、「野菜を購入するとき、包装がない(少ない)ほうがいい」と答えた人は16.0%。「ややそう思う」が39.5%となった。合計で55.5%だったが、これは昨年調査(19年、60%)のより、4.5ポイント減少した。
タキイ種苗は、コロナ禍の影響が多岐にわたる現状で、店舗での衛生環境を気にする人が増えていることが考えられる、としている。
なお、調査は2020年7月18~21日に、インターネットで実施した。