ドキドキの本番 ミッションコンプリートを目指せ!
「あっ! もっ、もしもし! ○△□大学の叶多凛ですっ! 採用担当の△△さんはいらっしゃいますか?」
あ、やば。緊張しすぎて、すごい早口になった。落ち着け、自分。
「採用担当の△△はわたしです。どうされましたか?」
おおう。まさかの本人だった! 電話越しの声じゃ、さすがにわからなかったよ!
「あの...... じつは御社での内定を辞退させていただきたいと思い、連絡しました」
よし。とりあえず、絶対に言わなきゃいけないことは言えたぞ。
「内定辞退ですか?」
ひええええ。まって。担当者さんの声がヒヤッとした! 声のトーンが氷点下! うわあああ、ごめんなさい!
頭の中はてんやわんやのパニック状態だが、いただいた内定を辞退するという時点で自分にもある程度の非があると思うので、甘んじて受けねばならない。
落ち着いた声を出すことを意識して、内定辞退の理由を続けていく。内定をいただけてうれしかったし、ありがたかったという感謝の気持ちも同時に伝えた。
「わかりました。残念ですが、仕方ありませんね。今後のご活躍をお祈りしています。」
ほっ。どうやらわたしの思いは伝わったようである。担当者さんの声にも、少しだけ熱が戻ったように感じられた。
「このようなお返事になってしまい、申し訳ありません。今までありがとうございました。」
わたしは改めて謝罪と感謝の言葉を述べて、受話器を置いた。ふぅ。やりきった......!
わりと長電話になっちゃったなと思いつつ部屋の時計を見上げたら、3分くらいしか経ってなかった。まあ、何はともあれ、こうしてわたしの就活史上最大のミッションは無事にコンプリートされたのである。あ~ やっぱり電話は緊張するから苦手!(叶多凛)