新型コロナウイルスの感染拡大に対応して導入が始まったテレワーク。当初は一時しのぎの弥縫策と考えられたが、コロナ禍の収束が見通せず、働き方の一つとして定着が進んでいる。
その動きに関連して新たな市場も生まれ、その受け皿を目指す事業開拓も活発化している。
「ワーケーション」対応を拡大
さまざまな不動産開発を行っている株式会社グローバルエージェンツ(東京都渋谷区)は、東京都内2か所(麻布十番、渋谷)など、全国7か所で運営するホテルで、「ホテル一体型」となったワークプレイスをオープンする。2020年9月8日の発表。東京以外の5か所は、神奈川・川崎、京都、大阪、福岡、沖縄。沖縄は10月下旬にオープン予定。
「.andwork」と名づけられたワークプレイスは、いわゆるコワーキングスペースとして、従来から東京・渋谷と京都のホテル「The Millennials」に設けられ、主にフリーランスらに利用されていた。
その後、コロナ禍でテレワークが拡大。さらに働きながら休暇を取る「ワーケーション」の機運が高まっていることから、設営ホテルを拡大。サービスを充実させ、新たに運用を開始する。
淹れたてコーヒーの24時間サービスや、疲労回復や作業効率向上のための睡眠(パワーナップ)のためのベッド利用、終業後のフリービールなど、ホテルならではの「ワーケーション」サービスを用意。自宅や、専用スペースでのリモートワークとは違って、オンとオフを選択できる「居心地の良い環境」を提供できることが特徴。
同社では、業務のための基本設備や除菌対策を含めて「他では体験できない新たなファシリティを提供」をうたっている。
ハコベル+モノオク テレワーク応援配送パック
テレワークの拡大で、ユニークな協業も誕生した。
ラクスル株式会社(東京都品川区)が運営する物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」は、物置きシェアサービス「モノオク」を運営するモノオク株式会社(東京都渋谷区)と協業し、「テレワーク応援! 配送簡単パック」を始めた。9月8日の発表。
「ハコベル」の「ハコベルカーゴ」では、荷物を送りたい人と軽貨物ドライバーとのマッチングにより、各運送会社の非稼働時間や個人ドライバーを有効活用して低価格での配送サービスを提供している。ラクスルによると、新型コロナの影響でテレワークの実施が増えたことに伴い、ハコベルカーゴでは自宅にワークスペースを確保するため、家具・家電などの大型配送を依頼する個人客がコロナ禍前と比べて約20%増加しているという。
モノオクとの協業は、テレワーク関連の利用に向けたサービスを充実させるため実現。「ハコベルカーゴの『低単価で柔軟な配送網』と、モノオクの持つ『保管』機能を組み合わせることで、荷物の保管場所探しから荷物配送までをワンステップで提供することが可能になった」。ラクスルでは「簡単に低価格でのサービスを提供できる体制を整えている。アフターコロナを見据えたテレワーク中心の新しいワークスタイルへの移行をサポートしたい」としている。
「テレワーク応援! 配送簡単パック」利用で、保管費用は1畳分あたり、月3000円から。東京都内での保管は同6000円から。配送費用は、ハコベルの通常料金の約半額。費用は、荷物量や配送距離により異なる。