新型コロナウイルスの感染拡大の影響で逆風にさらされている飲食店。経営者や外食関係者は店内での「密」を避け、クラスターを発生させないよう手を尽くしている。
有効な対策として注目しているのが、ロボットの活用だ。コロナ禍の出口が見えないなか、導入への動きが加速している。
回転寿司チェーンではコンベアに代わり
回転寿司チェーンの「すし銚子丸」を運営する、株式会社銚子丸(千葉市)は、千葉県船橋市の「すし銚子丸 雅 習志野店」に「自律歩行型完全AI配膳ロボット」を試験的に導入した。2020年9月7日の発表。
銚子丸が試験的に導入したのは、飲食業界向けITシステムサービスを提供する株式会社アルファクス・フード・システム(山口県山陽小野田市)の「サービスショット」。従来タイプの配膳ロボットはセンサーを使ったもので、天井に歩行誘導タグを取り付ける必要があり、工事やコスト負担などでハードルが高かった。
「サービスショット」は、AIによる自律歩行が可能なことや、センサーが不要で導入が容易なことが特徴。また、抗菌処理された密閉型の収納ボックスで注文品を配膳する、衛生面にも配慮した設計になっている。
さらに、アルファクス・フード・システムが提供しているオーダーシステムの客用注文端末と連携できることから、非接触化はもちろん、省力化や事務の合理化でも大きな効果を得られるという。
銚子丸は、コロナ禍のなか「ウィズ・コロナ成長戦略」を策定。ロボットの試験的導入も、その一環。8月31日には、同社初めてのテイクアウト専門店を東京都渋谷区内でオープンした。
横浜中華街の飲茶専門店でも「AI配膳ロボット」
横浜中華街にある香港飲茶専門店「招福門」を運営する招福門株式会社(横浜市)は、「招福門」の飲茶食べ放題フロアで、AIを活用した非接触型自動配膳ロボットの実証実験を開始。9月7日の発表。
「招福門」が導入を目指しているのは、上海に本社があるキーン・オン・ロボット社の「T5」。マルチセンサーを備え、自己位置の推定と環境技術の作成を同時にできるSLAM技術によって、障害物の回避やエレベーターの乗降しながら自律走行を行う。テーブルに到着すると音声で知らせる
「招福門」では5年前からタッチパネルを使ったオーダー方法を採用。ロボットの導入が本格化すれば、着席から会計まで非接触での利用が可能になるという。自動配膳ロボットが本格稼働すれば、横浜中華街では初めてのケースになるという。