今回選んだ銘柄は、東証マザーズに上場している「ポート」(7047)だ。
第3戦までは、直近の決算発表や業界の将来性から銘柄を絞ってきた。今回はこれまでと手法を変え、企業の成長性という観点からスクリーニング(ふるい分け)して銘柄を選ぶことにした。
なお、会社予想のPER(株価収益率)や前期から今期にかけての売上成長率の予想などによっても絞り込みたいところだが、コロナ禍で業績予想を未定としている企業が多いために条件から外した。
直近は赤字決算も、就活メディアの会員数・顧客数は増加中
小型株の高成長銘柄を見つけるために行ったスクリーニングの条件は、以下のとおりである。
(1)東証マザーズに上場
(2)時価総額が100億円以下
(3)売上成長率(前々期→前期)が20%以上
(4)売上成長率(3期前→前々期)が20%以上
(5)営業利益成長率(前々期→前期)が20%以上
以上の条件によって数社に絞り込み、各社の事業内容や株価の推移を検討した結果、ポートを選択することにした。
ポートは、主にインターネットメディア事業を展開する会社だ。就活・転職などを支援するキャリア系情報プラットフォーム「キャリアパーク!」と、お金に関するライフサポート型メディア「マネット」の運営が主な事業内容である。
「キャリアパーク!」は国内最大級のキャリア情報サイトで、そのユーザーに対して企業とのマッチング機会を提供するサービスの「キャリアパーク! 就活エージェント」も運営している。
また「マネット」は、柱となるカードローン情報サイトと、初心者向けFX総合情報サイトから構成されている。
当期純利益は3400万円の赤字だけど......
次に直近の決算を見てみたい。
ポートは2020年8月12日、2021年3月期第1四半期の決算を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたことにより、売上高は前年同期比14%減の7億6000万円、前年同期は1億5100万円だった営業利益は2000万円の損失、1億300万円の黒字だった当期純利益は3400万円の赤字となった。
しかし、それでも今後の業績の回復、拡大が期待できる理由が二つある。一つは、コロナ禍でもKPI(重要経営指標)が順調に推移していること。もう一つは、M&Aや新プラットフォームの本格展開に向けた研究を行うなど、事業拡大を積極的に行っているということだ。
まずは、KPIを見てみよう。
そもそもキャリア領域のメディアは、就活・転職などを希望する会員と顧客である企業とのマッチングにより売り上げが発生するビジネスモデルとなっている。したがって、会員数と顧客数が重要になる。
第1四半期の実績を見てみると、会員数は前年同期比93%増、顧客数も同143%増と成長している。ここから、採用市場における就職活動や採用活動が再び活性化すれば、売り上げは回復し、前年以上に増加する可能性があることがわかる。
またカードローン領域の売上高の昨年比率は、62%だった5月を底として、7月には83%にまで回復している。今後も堅調に推移していくだろう。
業績は2021年3月期第1四半期が底だと判断
次に、ポートの事業拡大について、考察する。
ポートはキャリア、カードローン領域のサービスの他に、「ポートメディカル」という診療プラットフォームの本格展開を目指している。これは「IT×医療」によって、医師の診断、処方、医薬品の配送までを実現するプラットフォームで、現在は大学病院や医療機器メーカーとの共同研究を行っている段階にある。オンライン診断への注目と将来の需要の増加を考えると、大きな収益源になることが期待できる。
加えてポートは、就活サイト「就活会議」と、外壁塗装の専門サイト「外壁塗装の窓口」をM&Aによって取得した。「就活会議」と「キャリアパーク!」等で顧客の共有をすることにのより、会員一人当たり売上の増加が望めるほか、「外壁塗装の窓口」取得により、リフォーム領域における売上が決算にプラスされることになる。
このように、ポートには大きな成長可能性があるが、それが株価上昇に表れうるタイミングが今後少なくとも二度あると考える。
一つ目は、9月18日(金)の2021年3月期業績予想と、成長戦略及び中期経営計画の発表後だ。先に述べたKPIなどから、2021年3月期の業績は前年を上回ると予測できる。これまで培ってきたデータマーケティングを駆使した成長戦略の発表にも期待できる。このような発表は、2021年3月期第1四半期の決算発表によって大きく下落した株価に、プラスの影響を与える可能性がある。
二つ目は、2021年3月期第2四半期の決算発表である。M&Aの効果が表れることで、営業利益の黒字化にとどまらず、売上高と営業利益が前年水準を上回るとポートは想定している。これが実現すれば、株価が上昇する可能性は十分にあるだろう。
最後に、ポートの株価をみると、3月19日に403円の年初来安値を付けてから上昇し、6月25日には1384円の年初来高値を付けている。しかし、8月12日の決算発表によって下落。現在は800円台前半である。業績は2021年3月期第1四半期が底だと考えられるため、株価も業績の回復と拡大に伴って上昇すると予測できる。
したがって、8月21日、終値と同じ841円で200株を購入した。
ポート(7047)
年初来高値(2020年6月25日) 1384円
年初来安値(2020年3月19日) 403円
株式取得時の株価(2020年8月21日) 841円
取得株数 200株
【株式取引ルール】
月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
1年間のトータルで損益を競います。
「シューカツに使える企業分析バトル カブ大学対抗戦 Season2」を通じて、財務分析と意思決定の精度を少しでも向上させることができるように、頑張ります。