お刺身のおいしい食べ方、わかりますか?
山葵を醤油に溶く人がいますが、新鮮なネタならネタに山葵をのせて風味を味わいながら食したいものです。中高年のベテランなら、理にかなった食べ方をマスターしたいものです。
西出さんは、
「お刺身は、味の淡泊なものから濃いものへと箸をすすめるのが基本です。したがって、白身と赤身があれば、白身から食べるほうが素材の味がよくわかり、よりおいしくいただけます。山葵は醤油に溶かさずに、香りや風味を楽しむために、お刺身の上に少しのせて食べるといいでしょう」
と言います。
「食べるときは、醤油を垂らさないように、小皿を口元まで近づけて食べると安心です。懐紙があれば、それを小皿代わりに使用してもいいです。お刺身に添えられたつまやしそは飾りではなく、魚の生臭さを消すためのもの。また、消化を助ける役割もあるので、お刺身と一緒に、もしくは交互に食べるといいでしょう」
ここで覚えておきたいのが、「懐紙」です。茶事で使用されている、懐に忍ばせておく小さめの和紙で、器の飲み口を拭きとったり、菓子器に盛られた菓子を受け取ったり、食べきれなかったお菓子を包んだりするのに使います。
「『ふところ紙』『たとう紙』ともいいます。お茶席以外でも、小皿の代わりにしたり、口元の汚れをおさえたり、お金を包んで渡したりなど、さまざまな使い方がされています。特に正式な和食の席では、洋食のように紙ナプキンが用意されていませんので、何枚か持参するのが女性のたしなみのひとつとされています」
と、西出さん。
本書では年齢を重ねたことで初めて遭遇するマナーの根本的な本質論から実践までを、豊富なイラストとともにわかりやすく紹介しています。(尾藤克之)