グーグルで「Suga」を検索してみたら......
とはいえ、安倍首相辞任のニュースに比べて「ポスト安倍」を巡る展開は、あまり海外メディアでは話題になっていません。独メディアのDeutsche Welleは、菅氏が安倍首相の後任になる可能性が高いとしつつも、次のようなジャーナリストのコメントを掲載して「懸念」を伝えています。
He lacks a network outside Japan and I cannot say that he comes across as a natural diplomat, so I fear he may be a little out of his depth in meetings such as the G7.
(彼は国外にネットワークがなく、外交的だとも言えない。G7のような国際舞台でアップアップするのではないかと懸念している)
out of his depth:水が深すぎて背が立たない、力が及ばない
「out of his depth」は、文字どおり訳すと「水が深すぎて背が立たない」という表現です。確かに、これまで表舞台に立ってこなかった菅氏は国際的な知名度に欠けているのでしょう。海外報道を見渡しても、英BBC放送や米ニューヨークタイムズ紙といった主要メディアの「菅評」はあまり見当たりません。
それでも、いくら何でも「ポスト安倍」レースを少しは報じているだろうと、グーグルで「Suga bbc」(菅 BBC)、「Suga nyt」(菅 ニューヨークタイムズ)と検索してみたら......。なんと上位に表示されたのは韓国の人気ヒップホップグループBTS(防弾少年団)のメンバーSUGA(シュガ)の記事ばかりではありませんか!
「ポスト安倍」の最有力候補の菅氏。国際的には「Suga」(すが)の名前を覚えてもらうことからのスタートになりそうです。
それでは、「今週のニュースな英語」は「be favored to win」(勝つ見込みが高い)を使った表現をご紹介します。ビジネスやスポーツなど、幅広い場面でよく使われます。
まずは、世界中が注目するアメリカ大統領選の報道から。
Biden is favored to win the election
(バイデンが選挙に勝ちそうだ)
「わずかに」という意味の形容詞「slightly」を加えます。
Biden is slightly favored to win the election
(バイデンが選挙に僅差で勝ちそうだ)
スポーツの試合でもよく使います。
Naomi is favored to win US Open
(なおみは全米オープンで優勝しそうだ)
よほどの番狂わせがない限り、「ポスト安倍」レースでの菅氏の圧倒的優位は変わりそうにありません。最近、アジア出身のアーティストとして57年ぶりにビルボードの全米シングルチャート1位を獲得して世界的に話題を集めたBTSは手強いライバルですが、「Suga」(すが)の海外認知度がどれだけ広がっていくのか、ウォッチしていきたいと思います。(井津川倫子)