「半沢直樹」のブラックな世界はウソではなかった? 大手8社の銀行VS証券の働き方を比べると勝者はどっちだ?(2)

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   金融界を代表する2つ業界...... 銀行VS証券ではどちらが今、働きやすいのだろうか。

   話題沸騰中のテレビドラマ「半沢直樹」(TBS系)第1~4話では、主人公の半沢直樹が東京中央銀行から出向した子会社の東京セントラル証券を舞台に、大手IT企業によるベンチャー企業の買収案件をめぐり、親会社の銀行と戦う痛快な物語が展開する。

   そして、最後は勝利を収めた半沢直樹が親会社の銀行に返り咲き、銀行のほうが力は強いかに見える結末だった。だが、現実はどうなのか――。

  • 「半沢直樹」の理不尽な人事はウソではなかった!?(TBSの番組ホームページより)
    「半沢直樹」の理不尽な人事はウソではなかった!?(TBSの番組ホームページより)
  • 「半沢直樹」の理不尽な人事はウソではなかった!?(TBSの番組ホームページより)

「社員にさまざまなキャリアを描かせ、転職もどうぞ」のみずほ銀行

   一方、銀行のほうはどうか。さすがにメガバンクのトップ級だけあって、若手の育成には力を入れているところが多いが、証券業界ほど風通しはよくないようだ。

三井住友銀行

「若いうちから海外へ行かせてもらえるチャンスが他メガ対比圧倒的。実際、自分も海外へ、入社3年目で行かせてもらった。非常に勉強になった。きちんとやって、上司にアピールできれば、応報してくれる会社」(部長代理補、女性)

三菱UFJ銀行

「若手の時からある程度の裁量は任せられているため、数字に対しての責任は大きい。一方で、年功序列な体質のため、若手で成果をあげても、賞与含む待遇にはほとんど反映されない。だから目に見える働きがいは少ない」(法人営業、男性)

みずほ銀行

「人員削減の背景もあり、社員にさまざまなキャリアを描かせようとしている。もちろんそれは、転職もしてどうぞ、というスタンス。人によっては頑張らずにこのまま会社にしがみつこうとするが、意志を持つ人は会社が提供し始めた自己研鑽ツールや制度をうまく利用しようとしている。後者の人間により高い報酬が渡るような制度を人事側は模索している段階で、その制度が確立されれば個人的には会社を高く評価したい。社会の変化に必死に対応しようとしている会社の一つで、資金力がある分、自己投資を促すツールは今後さらに充実していく気配があり、一介の社員としては大きく期待している」(法人営業、男性)
「オレたちバブル入行組」の時代はトントン拍子だった銀行だが......(写真はイメージ)
「オレたちバブル入行組」の時代はトントン拍子だった銀行だが......(写真はイメージ)

銀行に多い理不尽な「ブラックボックス人事」

銀行の人事はブラックボックス!?(写真はイメージ)
銀行の人事はブラックボックス!?(写真はイメージ)

   さて、銀行・証券業界ともにスコアが2.8と低かったのが「人材の長期育成」だった。各社の社員クチコミを見ていくと、二つの問題点が浮かび上がる。一つは、金融業界特有の3年程度で異動する「ジョブ・ローテーション」が専門性を高めにくくしている。

   これは、免許制度の金融機関に対する金融庁の監督指針で、顧客との癒着や不正を防ぐのが目的だ。ただし現在は、廃止する動きになりつつある。それに加え、とくに銀行に多い決定経緯が不明瞭な「ブラックボックス人事」がキャリア形成を難しくしているといった声が多く見られた。「ブラックボックス人事」は、ドラマ「半沢直樹」にもよく登場する「奥の院」と呼ばれる上層部で唐突に決まる理不尽な人事のことだ。この二つについて、匿名での声を拾うとこうだ。

大手証券会社C

「一部の部門や雇用形態を除けば、ジョブ・ローテーションが前提となるため、一つの分野で同じことを積み上げるプロフェショナル型のキャリアを長期に築いていくことが評価されにくい。もし、プロフェショナル型のキャリアを追求する場合には、解雇されるケースも少ない『プロフェショナル型契約』としたほうがリターンは大きい気がする。部長クラスになると、銀行からの出向者が多く、証券プロパーで管理職のポジションを担う人材は、支店等の一部の部署を除けば少ない印象」(投資銀行分野、男性)

大手銀行A

「銀行の人事は完全にブラックボックス。いつどこに異動となり、どうしてそこに異動になったのかは、当事者は知ることができない。そんな中でキャリアの開発ができるとは到底思わない」(法人営業、女性)

大手銀行B

「人事異動についてはブラックボックスな面が否めない。現時点で自分がどのように評価されているか、直属の上司から伝えられることは滅多になく、それは異動で何となくわかる程度。無数の部門、部署が存在しており、配属リスクが存在することも否めない。当初希望していた業務をできている人間はごく少数だろう。また、定期的な異動は部門を跨ぐことも珍しくなく、結局何が強みなのかわからない人材になってしまうこともありえる」(総合職、男性)

   こうして見ると、「出向」が銀行員生命の終わりであるかのように描かれる「半沢直樹」の世界は、あながちウソではなかったようだ。

   なお調査は、銀行・証券計8社の口コミ情報約5万3000件を、「待遇の満足度」「社員の士気」など8項目で、それぞれ5段階で評価した。

(福田和郎)

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