コロナ禍でなかなか遠出できないなか、身近で家族そろって楽しめる場所として、住宅展示場が「テーマパークのようだ」と話題だ。
そうしたなか、住宅大手の積水ハウスが、住宅の体験型ミュージアム「関東 住まいの夢工場」(茨城県古河市)に、「みんなの暮らし 7stories(セブンストーリーズ)」と名づけたライフスタイル型モデルハウスを用意した。
多様化するライフスタイルに応じた7棟のモデルハウスが完成。家具や日用品などの調度品の多くは、日ごろから自分で使いそうな「リアル」を意識して備えられ、積水ハウスが提案する「暮らし」を体験できるほか、驚きの趣向を凝らしたり、コロナ禍での「新しい生活様式」を意識した間取りを提案したりと、「夢のマイホーム」を家族が楽しみながら探せる仕掛けを忍ばせている。
2020年8月27日、そんな住宅テーマパークに行ってきた。
住まいのビジョンは「わが家を世界一幸せな場所にする」
「みんなの暮らし 7stories」は、積水ハウスの住生活研究所が「『わが家を世界一幸せな場所にする』というビジョンのもと、先進技術の研究と『幸せ住まい』の研究を進め、新しい住まいを模索してきた」(河崎由美子所長)スタイルを、具現化したもの。2020年9月1日にグランドオープンする。
少子高齢化や働き方改革で社会や生活環境が変わり、個人一人ひとりのライフスタイルがそれぞれに変化したことで、住まいに対してもさまざまな新しいニーズが寄せられるようになっている。
7棟は、家族の構成を中心に考えた「子育てファミリーの家」「アクティブシニアの家」「アウトドア好き三世代家族の家」と、趣味嗜好を前面にした「アートと暮らす家」「和の感性を大切にしたい家」「音楽を愉しむ家」「グリーンと暮らす家」と、大きく2つに分けた。
それぞれの家には商品名とは別に、たとえば「子育てファミリーの家」には「小林さんち。」のように、親しみやすい館名が付けられている。
7棟に共通する間取りのコンセプトは、家族ともに過ごす場所と、それぞれが過ごす場所が備えられていること。在宅勤務に使えるワークスペースや、一人あるいは二人で「酒を愉しむ」ことを目的にした一室も用意。「アクティブシニアの家」となる「山本さんち。」にはモニター越しのインストラクターの指導のもとフィットネスができるスペースもある。
その名のとおり、家族が幸せに暮らす「7つの物語」をイメージしたモデルハウスだ。
まるでコロナ禍を想定していたかのような間取り
まるで新型コロナウイルスがもたらした「ウィズコロナ」の時代を想定していたかのような間取りだが、じつは「コロナ仕様」ではない。
住生活研究所の河崎所長は、
「コロナ禍で用途が具体的になりましたが、すべてはそれ以前から提案されていました。ライフスタイルの変化で書斎のスペースは昔からニーズがありましたし、家の中でカラダを動かせる仕掛けも要望があったんですよ」
と話す。
「子育てファミリーの家 小林さんち。」をみると、35歳の共働き夫婦と小学校1年生の長女、保育園に通い始めた長男という4人暮らしをイメージ。特徴は1階の、柱のない「大空間」。玄関を入るとすぐに、子どもの遊び場兼用のピットリビングと広々とした「ファミリー スイート」が。シンクと電磁調理台がそれぞれアイランドになったキッチン、ダイニングスペースは、外にウッドデッキで作られたダイニングガーデンとつながっている。
「ファミリー スイート」は住生活研究所の提案で、従来の「LDK発想」から脱却し、家族が思い思いに過ごしながらもつながる「新しいリビングのあり方」を、コンセプトに設計した。
子ども用の学習スペースの前には黒板があり、子どもからの質問に両親が「先生」となって答えることができる。キッチンの奥には、夫婦2人が同時に使えるワークスペースを用意。子どものために出勤できないときも、在宅で勤務できるよう工夫されている。
なお、積水ハウスの「住まいの夢工場」は「住まいのテーマパ―ク」として、関東(茨城県)のほか、東北(宮城県)、静岡県、関西(京都府)、山口県の全国5か所にある。