みなさん、こんにちは。馬医金満です。
ソフトバンクグループが2020年8月11日、21年3月期第1四半期(2020年4~6月期)決算を発表しました。
最終損益が1兆2000億円超の黒字で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で巨額の赤字に陥った20年3月期決算から一転。保有していた米国の携帯電話会社大手、TモバイルUSの株式を売却したことで利益が押し上げられました。
誰もが知っているソフトバンクの、新たな投資先についてみてみました。
株式売却で大赤字から一転、黒字決算に
ソフトバンクグループの2021年3月期第1四半期決算によると、最終利益は前年同期比で11.9%増の1兆2557億円となりました。
新型コロナウイルスの影響による金融市場の動揺で、投資先の企業の価値が下がり、20年3月期の1年間の決算では9000億円超の最終赤字に陥りました。その後、保有していた米国の携帯電話会社大手、TモバイルUSの株式の一部を売却したことなどで、この期間としての利益を押し上げました。
ソフトバンクは今年3月に財務状況を改善するため、1年かけて4兆5000億円分の資産の売却を進める方針を明らかにしました。この6月までに、TモバイルUSの株式のほか、通信子会社のソフトバンクの株式の一部を売却したことなどで95%余りの4兆3000億円分を完了したとしています。
ご存じのように、現在のソフトバンクは「投資会社」と言っても過言ではありません。そんな中で、今まではソフトバンク・ビジョン・ファンドのように、ベンチャー企業の未上場株の取得に力を割いていましたが、最近は上場株の保有にも力を入れており、米国の規制当局である証券取引委員会(SEC)に8月17日に提出した文書で、20年6月末時点で米アマゾンやマイクロソフトなどの25銘柄を保有していることを明らかにしました。
ソフトバンクは資産売却で得た資金などを新たに運用するため、4~6月に1兆円超を上場株に再投資しており、そのうち半分強の5649億円を売却。654億円の売却益を確保しています。
孫正義会長兼社長は8月11日の決算会見で、上場株投資を行っていることに触れ、「中長期の『情報革命』を推進するうえで、上場企業にも重要な会社がいくつもある。われわれが詳しいIT分野に集中したい」と戦略的な意味についても説明しています。
孫社長「積極的に守りに徹する」って、ホント?
また、孫正義社長はこの決算会見で、上場株の投資運用を専門とする子会社を新設すると表明しており、今後ますます上場株の投資に力を入れていくことが予想されます。
ちなみに、ソフトバンクが投資している会社を見ると、6月末時点で保有する株式の総額約38億ドルのうち、約10億ドルと突出して多くを米アマゾンに投資しています。次いでグーグルの親会社であるアルファベットに4億7500万ドル、画像編集ソフトのフォトショップを展開するアドビシステムズに2億4900万ドルなど、ITの大手企業が名を連ねています。
またBtoB関連では、アドビやZoomビデオコミュニケーションズ(ズーム)など6社を保有しており、エンタテイメントでは動画配信サービスのネットフリックスのほかに中国企業2社にも投資しています。
ソフトバンクグループの収益構造としては、グループ内の携帯会社が安定的な収益を上げているため、そこの資金を眠らせることなくリスクを取って再投資しようとしているのではないか、と思われます。
オンラインでの決算会見で、孫社長は「現金を積み上げ、『守りの構え』で備える。平常時はやんちゃに投資していた、『攻め』のイメージあるかもしれないが、世の中が危機的状況にあるときは積極的に守りに徹することを実行していきたい」と話していましたが、そこにはしたたかさがうかがえます。
なるほど! さすがの経営力ですね。
ではまた来週!(馬医金満)