新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないなか、苦境にたつ観光業界の支援のために始めた「GoToトラベル」キャンペーン。
開始して1か月たった2020年8月25日、赤羽一嘉国土交通大臣は「延べ420万人が利用した」と成果を強調したが、本当に効果はあったのか、疑問の声があがっている。
主要紙の論調とネットの声を拾うと――。
旅行に行かなくても観光地サイトで商品を買って支援
インターネット上の声を見ても、利用者は少なかったようだ。ヤフーニュースの「みんなの意見」のアンケート調査「GoToトラベル・キャンペーン、利用した?」を見ると(8月26日午前9時現在・投票数11万6700票)で「利用していない」80%、「利用した」15%、「利用を検討している」5%と、利用していない人が圧倒的に多い。
ただ、利用した人々の中には、「GoToトラベル」に期待する観光業者の必死さをこう受けとめる意見が多い。
「利用した一人です。小さな民宿旅館で、夕食はウイルス対策のため1組限定となっていました。チェックアウトの際に女将さんが『コロナに負けずにまた来て下さいね』と言ってくれました。本当に大変なのは旅館のほうなのに、逆に励ましの言葉をいただいて本当にうれしかったです」
「やっと7月に旅館を再開したそうで、検温やフェースシールドの消毒、食事は個室やテーブルを離してセットし、本当に努力を感じました。仕事再開の喜びと、With Coronaの不安を抱えての営業でしたが、喜んでいましたよ。それでも昨年の半分の客でした。健康な人が行けばよいし、不安な人は行かなければよい。ただ、GoToがないと倒産するだろうと、現地を見て感じました」
また、旅行に行かなくてもこんな支援の仕方をする人も。
「マイカーなし、東京住み、受験生を抱える我が家。今年はレジャーどころではありませんが、少しでもお役に立てればと思い、夏休みに地方の観光地のサイトで商品を買いました。観光に行けた気分になれるし、こういう支援の仕方もいいんじゃないかと思います」
GoTo に登録している宿泊業者からはこんな悲壮な声が多かった。
「宿泊業をしています。一番の感染リスクが高い仕事。海の日、お盆は飲めや歌えやの大騒ぎでしたが、注意などできません。居酒屋並みの盛り上がりです。おとなしいのはチェックインまで。私たちにも家族がいます。都道府県である程度感染率を超えたら来ないで欲しいです」
「旅館で働いていますが、7月の連休こそ忙しかったけど、その後は旧盆も含めてさっぱり。GoToが始まる前に戻ってしまいました。これからの予測でも忙しそうなのは9月の連休だけ。感染が少なくならないとダメですね」
「うちはホテルですが、8月は散々です。例年の8月と比べて3分の1以下です。9月は休業の予定ですよ。このままでは危ないですね」
「私もホテル勤務ですが、8月は盆休みも閑古鳥が...。GoToの利用なんて少数です。今のところの予約では9月も暇ですよ」
とGoToの恩恵をこうむっているという声はほとんど聞かれない。