ドイツの大手ECサイトから「輸入」した「ついで配送」のノウハウが、飲食店のデリバリーサービスの課題や利用者の不満を解消するかもしれない。企業向け福利厚生サービスや、働き方改革推進のためのサービスを提供しているオフィシス(東京都豊島区)は、飲食店メニューの持ち帰りを、同僚や知人らに依頼できるアプリサービスを開発、2020年9月からサービスを始める。8月24日に発表した。
●「ソーシャルデリバリー」を導入
オフィシスのサービスは「JOY弁」と名づけられ、「日本初のオフィス弁当ソーシャルデリバリーサービス」をうたう。ドイツの大手ECサイトで運営されている「ソーシャルデリバリー」の仕組みを採用した。
当面は2年前に開業した東京都千代田区複合施設、東京ミッドタウン日比谷内の飲食店から始め、年内に対象エリアをさらに拡大する計画。
友人同士や家族、勤務先の同僚グループなど信頼関係を構築できているコミュニティ向けのサービス。持ち帰り料理の注文と、注文した持ち帰り品の受け取りを、代表者が自分の分を取りに行く「ついで」に仲間の分も「まとめて」受け取りに行く仕組み。代表者が受け取りに行くことで、注文金額の合計の10%のポイントが付与され、次回にお弁当を注文する時の支払いに充当できる。
新型コロナで客足が遠のいた飲食店の次善策とされたデリバリーサービスだが、飲食店にとって手数料負担が重いうえ、配送員の低報酬や、利用者が支払う配送料に不満の声が聞かれるなど、課題が指摘されていた。
また、複合施設内の飲食店街ではテイクアウト客が増え、エレベーターなどでの混雑が問題になっていた。「JOY弁」は、こうしたコロナ禍での新たな問題を解決策としても有効として期待されている。
「ソーシャルデリバリー」は「ついで配送」をベースにしており、消費者同士が他の用事で移動する「ついで」にモノを届け合うビジネスモデル。「人の役に立ちたい」と思っている人が移動するついでに配送する。ドイツの大手ECサイト「ザランド」が「ついで配送」「まとめ受取」型のデリバリーの実施で効率的な配送網の構築を進めているという。
オフィシスでは、東京ミッドタウン日比谷のほか、2020年内に、5か所のエリアや自治体で「JOY弁」の展開を予定している。