コロナ禍の出口が見えず実施に踏み切る企業が増えているテレワーク。「新しい働き方」のパターンとして、すっかり定着したようだ。
テレワークの広がりや、なかには業績悪化を理由にオフィスを縮小・解約したり、契約した入居を見送ったりしている企業が多くなっており、オフィススペースには「空き」が目立ち始めている。こうしたオフィス事情のなか、スペースを「変身」させて有効利用する動きが活発になっている。
東京ビジネス地区のオフィス空室率は2.77%
オフィス仲介大手の三鬼商事(東京都中央区)が発表した、東京ビジネス地区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の2020年7月時点でのオフィス空室率は2.77%だった。前年同月の1.71%から、1.06ポイントの上昇。前月との比較では0.80ポイントの上昇と、これで5か月連続の上昇となった。新型コロナウイルスの感染拡大の兆しがあらわれた2020年2月の空室率は1.49%だった。
東京ビジネス地区の区ごとの7月の空室率は、「空き」が多い順に、渋谷区3.85%(前月比0.47ポイント増)、港区3.52%(1.19ポイント増)、新宿区2.87%(0.63ポイント増)、中央区2.26%(0.82ポイント増)、千代田区1.93%(0.54ポイント増)だった。
空室率は全国の都市部で上昇しており、7月は札幌2.28%(前月比0.25ポイント増)、仙台5.42%(0.29ポイント増)、横浜3.42%(0.25ポイント増)、名古屋2.91%(0.08ポイント増)、大阪2.71%(0.25ポイント増)、福岡2.87%(0.23ポイント増)だった。
◆ オフィス仲介業者にレンタル協働を提案
オフィスの空きが目立つ状況に、不動産業者から「オフィスビル開発の見直しが必要」との声があがるなか、ホテル事業やケータリング事業などを手がける株式会社マックスパート(東京都千代田区)は、オフィス仲介業者向けに、通常のオフィス契約とは期間が合致しない短期利用客をターゲットに、同社の貸し会議室事業向けに空きオフィスを紹介してほしいと呼びかけ、その利用や協働を提案している。2020年8月25日に発表した。成約した場合には、手数料を支払う。
マックスパートによると、新型コロナや、それ以前からの働き方改革などの影響で、オフィスをめぐる顧客ニーズの多様化を感じており、同社が事業の一つとして取り組んでいるレンタルオフィスのシェアは拡大傾向にある。レンタルオフィスの希望者を不動産会社から紹介されるケースも増えており、今回の提案になった。
ワンルームマンションを改造 ワンルームオフィスに変身!
マンスリーマンション事業を行っている株式会社レジデンストーキョー(東京都渋谷区)は、コロナ禍でのオフィス・住宅需要の変化に対応して、東京都内に展開する約800室のマンスリーマンションを活用した分散型サテライトオフィスの機能と家具付きマンションの機能を融合した「1Rオフィス(ワンルームオフィス)」のサービスを開始した。8月19日の発表。
同社が東京23区内のビジネスエリア周辺で運営するマンスリーマンションが対象。新型コロナウイルスの影響で、オフィスの解約や機能分散、テレワークの拡大が進んでいることに合わせて、住居用の物件を仕事場仕様にするなどして新しいニーズの受け皿を目指した。
同社によれば、コロナ禍利用が盛んになっているシェアオフィスやコワーキングスペースでは、「ミーティングスペースや水回り等が他社と共有」、「他社との仕切りがパーティションだけ」、「一人当たりの賃料が高額」などの課題があることがわかり、その解決策として、1室を複数人で使用可能とし、同建物内に分散して複数オフィスや住宅を備えることが可能な「1Rオフィス」を企画した。