先見性発揮、いちはやくテレワーク導入
求人情報産業や人材派遣などの業界では、他の産業界と同じく、競ってIT化を推進しているが、加藤社長が人材派遣会社でキャリアをスタートした20年ぐらい前は、ITが導入されていても、いまのようにイノベーションのステップとして考えられるようなことがなかったという。
そうした環境の中で、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏やマイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏の軌跡に興味を持ち、米国のブログなどで同国の人材情報産業でビッグデータビジネスやオウンドメディアが成功していることを学ぶ。そして、そのうちの一部は会社勤務時代に、乗り気ではない経営幹部を説得して実務化して成功させ、社内ではIT化の立役者にもなった。
若い頃は漫才師を目指したこともあったが、向いていないことがわかり実務を志す。大学4年の時に就職活動で内定を受け、卒業を目前に中退して人材派遣会社に就職。生来の行動力で実績を挙げ、子会社社長、本社のIT担当の部長として同社にはなくてはならない存在となったが、起業志向を止められず独立した。
先を見通して行動することは起業後も不変。コロナ禍ではいち早く2月半ばに全社フルテレワークを宣言。自らは「トップがのんびりしていてはいけない」と自家用車を売却して、自分はいつでも出社できるようにと東京の本社近くに引っ越した。
2015年から始めた新卒採用では、コロナの感染拡大をみて、こちらもフルリモートでの対応に転換。入社について「3月31日まで辞退OK」など、いわばなんでもありの「自然体」ということから「すっぴん採用」と銘打って実施した。
2021年に迎える10周年について問うと「次のチャレンジの年」と即答。「どこの会社にいっても通用する人材を育てる会社なので、分社もありと考えています」。また、農業への参入を真剣に考えていると付け加えた。