求人ビッグデータのゴーリスト、コロナ禍で存在意義確認し一転、広報強化

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   独自のビッグデータ収集・分析による人材情報サービスを手がけ成長を続ける株式会社ゴーリスト(東京都千代田区)は、新型コロナウイルスで、いち早く全社テレワーク体制を敷き注目を集めた。

   同社は経営戦略として情報発信を控えめにした「隠密経営」を旨としていたが、2020年からその方針を180度転換して広報体制を整え、そのプロローグ的な発信の一つがテレワークについてだった。加藤龍社長に、なぜカミングアウトすることにしたのか聞いた。

  • 「ステルス経営」から「表に出る」ことに転換したというゴーリストの加藤龍社長
    「ステルス経営」から「表に出る」ことに転換したというゴーリストの加藤龍社長
  • 「ステルス経営」から「表に出る」ことに転換したというゴーリストの加藤龍社長

なぜ、「ステルス経営」をやめたのか?

   加藤社長は、2019年までの発信控えめのオペレーションについて、戦闘機などに搭載されレーダーに捕捉されないようにする技術にたとえ「ステルス経営」と呼ぶ。

「戦略的な理由からこれまでは、ステルスで会社を経営していまして、取材も断りできるだけ目立たないようにしていました」

   カミングアウトすることにした大きな理由の一つは「戦略的な理由」がなくなったから。新型コロナでは、その判断が間違っていなかったことを確信したという。

   加藤社長がゴーリストを起業したのは2011年1月。それまで約10年間勤務した人材派遣の会社を辞め、たった一人で起業した。21年が明けて早々に迎える「10周年」を節目として「そろそろ取材も受けながら認知度を上げていく」ことを考え、20年はその「元年」の位置付けだ。

   ゴーリストの主な業務は、さまざまな求人情報媒体などがウェブサイトに掲載している求人情報を集約、独自の技術で分析すること。顧客企業のニーズに応じたカテゴリーに分類して提供する、いわゆるビッグデータビジネスを行っている。

   技術的困難の克服、提供を考えた情報のニーズの見極めなどで試行錯誤を繰り返しながら起業後3年ほどしてから事業は軌道に乗る。2015年に50社だった顧客企業は19年には3倍に。データの累計件数は15年に4億件ほどだったが2020年に24億件を超えた。

   創業10周年を控え、加藤社長がステルス経営を脱しようと考えたのは、人材市場でのビッグデータビジネスという分野で競合相手がなく独走態勢を築くことができたからだ。

   同社のビッグデータビジネスの支えはクローリングという情報収集の手法と、求人媒体が公開している情報。そこに鉱脈があることが知られればマネをされる可能性がある。それを避けるために「ステルスでコツコツとやっていた」。

「起業当時からデータは溜めたもの勝ちだと思っていました。仮に大きな会社が今から始めても今からのデータしか取れない。これまで24億件データが蓄積され、この8年くらいの日本の求人事情についていちばん知っているのはうちの会社になります」
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