女性管理職の割合について、政府目標である「女性管理職30%以上」を超えている企業がわずか7.5%にすぎないことがわかった。帝国データバンクが2020年8月17日、「女性登用に対する企業の意識調査(2020年)」を発表した。
女性管理職の割合は平均7.8%で、2019年と比べて0.1ポイントの上昇にとどまった。
女性管理職の割合7.8%、前年比わずか0.1ポイントの上昇
調査によると、女性管理職の割合は平均7.8%と前年比0.1ポイント上昇。政府目標である「女性管理職30%以上」を超えている企業は7.5%(同0.4ポイント上昇)と、わずかながら増加したものの、依然として低水準にとどまっている。
また、女性役員の割合をみると、前年から1.0ポイント上昇して平均10.8%となった。女性従業員の割合は平均で25.8%(同0.6ポイント上昇)だった。
自社の女性管理職の割合が5年前と比べて「増加した」と答えた企業は21.2%。一方、「変わらない」とする企業が69.8%と7 割近くに達した。また、現在と比べて今後、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は21.7%で、前年よりも1.9 ポイント減った。2014年以降は緩やかな拡大傾向にあったものの、18年をピークにやや鈍化している。
女性役員をみると、5年前と比べて「増加した」企業は8.7%、今後「増加する」と考えている企業は6.9%で、前年から0.7 ポイント減った。「変わらない」とする企業は73.4%と、7割超え=下図参照。
社内外を問わず、女性登用を進めている企業は42.6%で、前年から7.4ポイント減少した。女性登用を進めた効果では、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が71.8%と突出して高く、「女性の労働観が変化してきた」の29.1%、「多様な働き方が促進された」の28.4%(いずれも複数回答)が上位で続いた。
「テレワークの導入・充実」も女性活躍に欠かせない
さらに、「今後、より女性の活躍を促進するためには、どのようなことが重要と考えるか」との問い(複数回答)には、「妊娠・出産・子育て支援の充実」が64.7%でトップとなった。前年(2019年)に続いて最も高かった=下図参照。
次いで、育休復帰支援などの「仕事と子育ての両立支援」(56.2%)、長時間労働の削減などの「働き方の改革」(55.3%)、待機児童や保育士不足の解消などの「保育サービスの充実」(52.7%)が5割超で続き、女性の家庭での負担軽減に関する項目が上位に並んだ。
注目は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で急速に普及が進んでいる「テレワークの導入・拡充」(36.3%)。3割以上の企業が女性活躍推進にもテレワークが重要であると認識していることが明らかになった。
企業から寄せられた声には、
「女性従業員の登用への一番の壁は結婚・出産での離職だと思うので、国がもっと子育てをしながら働ける環境を整備しなければ進まないと感じる」(東京都、ソフト受託開発)
「さらに女性が働きやすい職場へ変化させるために、労働時間削減や業務の見直しなどを進めたい」(長野県、一般貨物自動車運送)
「女性パート社員が大変優秀で、時給をアップしているが、扶養の範囲を超えてしまうため、もっと働きたいのに働けない状況になっている」(宮城県、金属加工機械卸売)
などがあった。
安倍晋三首相は2014年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、「2020年までに、指導的地位にいる人の3割を女性にする」と宣言。女性活躍の推進を、アベノミクスの成長戦略で柱の一つと位置付けていた。
しかし、就業人口の減少や共働き世帯の増加などもあり、職場での女性の存在感が高まってきているものの、「3割目標」の達成には遠く及ばず、政府は2020年7月、この目標を先送りし、「20年代の可能な限り早期」とする方針を示した。
なお調査は、帝国データバンクが景気動向調査(2020年7月)とともに実施した。