全国152万8043社のメインバンクは、三菱UFJ銀行が12万4691社(シェアで8.1%)で、調査開始以来、8年連続でトップを守った。企業信用調査の東京商工リサーチが調べた。2位は三井住友銀行の9万6992社(同6.3%)、3位はみずほ銀行の7万9760社(5.2%)、4位はりそな銀行の3万7670社(2.4%)、5位は北海道の第二地方銀行、北洋銀行の2万5198社(1.6%)と続いた。
業態別でみると、最も多くの企業がメインバンクに支持したのは、銀行が三菱UFJ銀行。信用金庫は京都中央信用金庫(京都市)、信用組合は茨城県信用組合(水戸市)だった。
コロナ禍で銀行再編も!?
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気の急激な悪化で、企業救済策をめぐる金融機関の重要性が改めて認識されている。なかでも、外出自粛や休業要請による飲食業や小売業などの業績悪化は鮮明だ。倒産件数も少なくない。
こうした経営が悪化した企業への貸付金、リスケジュールへの対応は、将来の与信コストの増大や収益力への影響が懸念されるだけに、「コロナ禍が金融機関の再編を促す可能性も高まっている」(東京商工リサーチ)という。
以下、都道府県別にシェアをみてみる(カッコ内はシェア)。
【北海道】
1位は北洋銀行(36.3%)、2位の北海道銀行(16.0%)と2行で過半を占める。3位は、3信金が2018年に合併し誕生した北海道信金(5.4%)、4位は旭川信金(4.4%)、5位に帯広信金(3.4%)。北海道銀行と「ほくほくFG」を形成する北陸銀行が6位(2.8%)。
【東北】
青森県は、青森銀行(42.5%)がトップ。みちのく銀行(28.9%)が2位。岩手県は、岩手銀行(45.0%)が圧倒。東北銀行(16.7%)、北日本銀行(16.1%)は僅差の激戦続く。
宮城県は、1位が七十七銀行(56.6%)、2位は仙台銀行(12.7%)。杜の都信金(6.1%)が続く。秋田県は、1位に秋田銀行(53.8%)、2位が北都銀行(29.7%)。山形県は、山形銀行(36.8%)、2位がきらやか銀行(24.6%)、3位に荘内銀行(本店=鶴岡市、18.4%)。福島県は、トップが東邦銀行(40.6%)。2位に郡山市の大東銀行(9.8%)、3位が福島銀行(8.8%)。
【関東甲信越】
茨城県の常陽銀行(48.5%)、栃木県の足利銀行(47.6%)、群馬県の群馬銀行(50.6%)がほぼ半数のシェアを維持する。埼玉県は、埼玉りそな銀行(29.0%)が圧倒。2位は武蔵野銀行(11.8%)。千葉県は、千葉銀行(41.4%)が2万社を超え、独走。2位に京葉銀行(13.7%)、3位が千葉興業銀行(8.6%)。
東京都は、メガバンクが上位を独占。八千代銀行と東京都民銀行が統合した、きらぼし銀行(3.0%)が5位を維持。神奈川県は、横浜銀行(22.1%)がトップ。2位以下はメガバンクが熾烈な戦い。千葉銀行と横浜銀行が「千葉・横浜パートナーシップ」で連携中。
新潟県は、トップの第四銀行(40.2%)と、2位の北越銀行(本店=長岡市、19.3%)が「第四北越FG」で統合、地盤固める。山梨県は山梨中央銀行(57.1%)、長野県は八十二銀行(55.4%)が圧倒的シェアを維持する。
長崎県は十八銀と親和銀で寡占状態変わらず
【東海・北陸】(カッコ内はシェア)
岐阜県は、トップの十六銀行(34.0%)を、2位の大垣共立銀行(20.3%)が追う展開。静岡県は、静岡銀行(39.3%)が圧倒。2位の浜松磐田信金(10.6%)と3位のしずおか焼津信金(7.0%)はともに統合してシェアを伸ばす。愛知県は、東海(UFJ)銀行の流れをくむ三菱UFJ銀行(23.9%)がトップを独走。2位に名古屋銀行(10.5%)。三重県は、1位が百五銀行(43.8%)。2位の第三銀行(本店=松阪市、14.2%)と3位の三重銀行(同=四日市市、13.8%)は「三十三FG」を形成する。
富山県は、北陸銀行(48.0%)がトップ。石川県でも18.3%のシェアで2位、福井県も13.7%で3位と、北陸3県すべてでトップ3にランクイン。北海道でも6位(2.8%)。石川県は北國銀行(53.3%)、福井県は福井銀行(48.1%)がトップを維持。
【近畿】
滋賀県は、滋賀銀行(61.4%)が独走。関西みらい銀行(13.6%)が追う。京都府は、トップの京都銀行(33.0%)を、2位の全国信金トップの京都中央信金(24.8%)が追う。3位は京都信金(12.5%)で激戦続く。大阪府は、トップは旧三和(UFJ)銀行の流れをくむ三菱UFJ銀行(20.2%)と、2位の三井住友銀行(19.4%)が僅差の戦い。さらに、3位のりそな銀行(12.6%)、4位はりそなグループの関西みらい銀行(10.1%)が上位をうかがう。兵庫県は、三井住友銀行(22.1%)がトップ。2位は「関西みらいFG」のみなと銀行(12.7%)。奈良県は、南都銀行(60.4%)、和歌山県は、紀陽銀行(62.8%)が6割以上シェアを確保する。
【中国・四国】
鳥取県は山陰合同銀行(48.0%)、島根県も同行が65.9%と高いシェアを維持する。岡山県は、中国銀行(48.9%)がトップ。2位はトマト銀行(11.1%)。広島県は、トップの広島銀行(39.3%)を、2位のもみじ銀行(17.7%)が追う。山口県は、山口銀行(59.9%)がトップ。2位の西京銀行(12.1%)との差が大きい。山口銀行と広島2位のもみじ銀行、福岡の北九州銀行は「山口FG」を形成している。
徳島県は、阿波銀行(56.2%)がトップ。2位は大阪の大正銀行と合併した徳島大正銀行(20.1%)。香川県は、1位が百十四銀行(47.8%)、2位は香川銀行(18.2%)。愛媛県は、伊予銀行(58.0%)がトップ、2位は愛媛銀行(18.1%)。高知県の1位は四国銀行(50.6%)。2位が高知銀行(29.2%)で、上位2行の寡占化が進む。
【九州・沖縄】
金融激戦区の福岡県は、トップの福岡銀行(36.6%)、2位の西日本シティ銀行(32.0%)の競争が熾烈。佐賀県は、佐賀銀行(57.5%)が1位、2位は佐賀共栄銀行(7.0%)。長崎県は、十八銀行(44.3%)、親和銀行(39.3%)で寡占化が変わらず。熊本県は、1位が肥後銀行(58.5%)、2位の熊本銀行(20.1%)が追う。大分県は、大分銀行(51.7%)がトップ、豊和銀行(11.5%)が2位。宮崎県は、1位が宮崎銀行(59.8%)、2位は宮崎太陽銀行(13.8%)、3位には2020年1月に宮崎都城信金と南郷信金が合併した宮崎第一信金(5.2%)がランクイン。鹿児島県は、鹿児島銀行(53.1%)がトップ。2位の鹿児島相互信金(12.3%)が続く。沖縄県は、琉球銀行(42.0%)と沖縄銀行(38.8%)の熾烈な争いが続く。
なお調査は、東京商工リサーチの企業データベースから2013年~2020年の各年3月末のメインバンクを集計、分析(商号変更や経営統合などは20年6月末現在)。メインバンクが複数の場合は、最上位行をメインバンクとした。2020年8月7日の発表。