全国152万8043社のメインバンクは、三菱UFJ銀行が12万4691社(シェアで8.1%)で、調査開始以来、8年連続でトップを守った。企業信用調査の東京商工リサーチが調べた。2位は三井住友銀行の9万6992社(同6.3%)、3位はみずほ銀行の7万9760社(5.2%)、4位はりそな銀行の3万7670社(2.4%)、5位は北海道の第二地方銀行、北洋銀行の2万5198社(1.6%)と続いた。
業態別でみると、最も多くの企業がメインバンクに支持したのは、銀行が三菱UFJ銀行。信用金庫は京都中央信用金庫(京都市)、信用組合は茨城県信用組合(水戸市)だった。
上位は「メガバンクVS地銀グループ」
調査によると、全国152万8043社のメインバンクは、銀行は上位を3メガバンクと、りそな銀行が独占。続いて、第二地銀トップの北洋銀行が続き、千葉銀行(2万2813社、シェア1.47%)、福岡銀行(2万937社、同1.35%)が逆転をうかがう。
これを金融グループ別でみると、4位のりそなホールディングスまでに変化はないが、5位に福岡銀行や十八銀行(長崎市)、親和銀行(長崎県佐世保市)、熊本銀行(熊本市)を擁する「ふくおかフィナンシャルグループ(FG)」が、6位に地銀大手の常陽銀行(水戸市)と足利銀行(宇都宮市)を傘下に置く「めぶきFG」、7位には北海道銀行(札幌市)と北陸銀行(富山市)の「ほくほくFG」がランクインした=下表参照。
(注)経営統合や合併した銀行(予定含む)のグループを「金融グループ」と定義。金融グループに限り、りそなHDに「関西みらいFG(関西みらい銀行、みなと銀行)」の取引社数を含め、持分法適用会社としている三井住友FGには含めていない。
「京都」といえば信用金庫
信用金庫は、京都中央信金が8140社でトップ。次いで多摩信金の6797社、大阪シティ信金の6734社。順位に変動はなかったが、いずれも前年より社数を増やした=下表参照。
京都府内は古くから、西陣織などの和装や窯業といった伝統産業や軽工業、旅館やおみやげ店などのサービス業と中小・零細企業が多く、銀行が手を出しづらい顧客層を信用金庫が育ててきた「信金王国」。京都がもつ排他的、閉鎖的な風土、文化も京都中央信金に味方しているとされる。
信用組合では、茨城県信組が2989社となり、大差でトップ。次いで新潟縣信組が1239社、3位に広島市信組が1237社、4位に山梨県民信組が1212社と僅差で続き、2位争いが激化している=下表参照。
長引く日本銀行のマイナス金利政策の影響で、銀行の収益力は低下している。地方銀行や地域の信用金庫、信用組合と資金量が小さい金融機関ほど、経営へのしわ寄せが厳しく、こうした地域金融機関では再編が進んでいる。
なかでも、地銀は5月に、地銀の経営統合や合併を独占禁止法の適用除外とする特例法(最長10年の時限措置)が可決したことで、高い市場シェアのままでの再編が可能になったことから、県内や隣県などの再編にも加速度がつきそう。メインバンクの順位にも変化が現れそうだ。
たとえば、信金再編が進む静岡県では、企業のメインバンクは静岡銀行がダントツのトップだが、2位に2019年1月に合併した浜松磐田信金、3位は同7月に合併したしずおか焼津信金が入った。静岡県以外でも、長崎県の九州ひぜん信金や宮崎県の宮崎第一信金が合併効果で地場のトップ5にランクインしている。
また、東京商工リサーチが「台風の目」とみているのは、インターネットによる金融グループを展開するSBIホールディングスの「地銀連携」だ。提携が公表された島根銀行(メインバンク数939社)、福島銀行(同2291社)、筑邦銀行(福岡県久留米市、同2229社)、清水銀行(静岡市清水区、同3050社)のほか、約10行の提携構想を打ち出している。