テレワークでキャリアを何倍にもできる方法を伝授する

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   新型コロナウイルスの感染拡大予防で、導入が急に進んだ在宅勤務。本書「在宅HACKS! 自分史上最高のアウトプットを可能にする新しい働き方」は、そのテレワーク(あるいはリモートワーク)が、ポスト・コロナの時代には「当たり前」になることを前提に、然るべき働き方改革を導く一冊。

   会社を辞めて在宅中心に仕事を続けた著者は、そのおかげでキャリアを何倍にも広げることができたそうだ。在宅勤務を、単に働き場所の選択と受け流してはいけないと指摘する。

「在宅HACKS! 自分史上最高のアウトプットを可能にする新しい働き方」(小山龍介著)東洋経済新報社
  • 在宅勤務が進み、通勤客はゼロに……
    在宅勤務が進み、通勤客はゼロに……
  • 在宅勤務が進み、通勤客はゼロに……

「何足ものわらじを履き分けてきた」

   著者の小山龍介さんは京都大学で美術史を学び卒業。大手広告代理店での勤務を経て、米国MBAを取得。映画・演劇を制作する松竹で新規事業プロデューサーとして歌舞伎をテーマとした業務に携わった。2008年に退職した後は、在宅を中心に仕事、執筆、大学院での教職など複数のキャリアを積み重ねてきた。今は、新商品開発、新規事業開発などを行う会社を経営する一方、大学院でビジネスモデル論を講じている。

   「在宅HACKS(ハックス)」の「ハック」は「解決する」というような意味。著書には、「IDEA HACKS!2.0」や「TIME HACKS!」「クラウドHACKS!」などがあり、ハックシリーズとして知られる。キャリアや著作の多彩さから、肩書も、会社社長のほか、広告プロデューサー、コンセプトクリエーター、ビジネス書作家などと多彩だ。

   著者は、本書で「二足どころではない何足ものわらじを履き分けてきた」と振り返る。それを可能にしたのは「在宅勤務だった」。「もし、ひとつの企業に9時から5時まで働いていたら、とても実現できないキャリア」だからだ。在宅で仕事をするようになって著者は、それまでとは違う「何倍ものアウトプットを実現する新しいキャリアの可能性」を見い出し、それをうまく生かすことできたという。

   ポスト・コロナの時代には、著者のように会社を辞めなくても、誰にでも「在宅勤務」の機会がやってくる。「そのインパクトが私たちのキャリアに及ぶことに多くの人が気づいていない」ことに、著者は苛立ち「在宅勤務を通して起こるポスト・コロナ時代の『キャリア』の大転換を示す」ために本書を刊行した。

在宅のリスクをポジティブに転換する方法

   在宅勤務では、ラッシュ時の通勤がなくなるなど、うれしいことがある半面、会社に勤める人たちにとってリスクもある。その一つが、勤務評価の変化だ。会社にとっては従業員の勤務状況を把握することが難しくなり、在宅勤務では、従来のように「会社にいた時間」を総合的に判断するのではなく、成果による業績管理が一般的になり、生産性の低い人があぶり出されることになる。

   従業員はそういう評価を受けないよう頑張って働き、その結果、在宅勤務のほうが出勤するより長時間労働になってしまう可能性があるのだ。

   しかし、短時間で成果をあげられる人にとっては、勤務の時短を実現することができ、余った時間で、勤務ではできなかった新たなキャリア開発へ動き出すことができる。

   評価についてのリスクと比べるとマイナーだが、オフィスの同僚らとやり取りすることを楽しみながら働いていた人が、急に在宅勤務になって孤独感に打ちのめさされてしまう人が少ないという。著者は、こう述べる。

「ネット時代の現在において、在宅で解決できない問題なのか。むしろ、会社の枠を超えた人脈を広げるチャンスでもある」

と。

   本書では、在宅勤務でのリスクをさらに掘り下げながら、そのリスクをポジティブに転換する方法を伝授。在宅勤務で考えられる問題について「ハック」の方法を紹介する。第1章「環境整備ハック」、第2章「行動管理ハック」、第3章「コミュニケーションハック」、第4章「情報整理ハック」、第5章「メンタル&ヘルスハック」、第6章「副業ハック」――の6章建て。それぞれに在宅勤務モードに入るのに欠かせない15項目ほどのアドバイスが並んでいる。なかには「二酸化炭素濃度を1000ppm以下にする」など、具体的かつ細かい「提案」もあり、本気度が伝わってくる。

「在宅HACKS! 自分史上最高のアウトプットを可能にする新しい働き方」
小山龍介著
東洋経済新報社
税別1500円

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