本書はベストセラー作家、精神科医・樺沢紫苑さんによる現代心理分析本です。「スター・ウォーズ」「ONE PIECE」から「鬼滅の刃」まで、アニメ・映画を題材にして現代社会を解き明かした作品。アニメと映画作品を、父性を軸にさまざまな角度で切り込んだ論考は、興味深いものでした。
「父滅の刃 ~ 消えた父親はどこへ」(樺沢紫苑著)みらいパブリッシング
漫画「ONE PIECE」がブームになる理由
漫画「ONE PIECE」は単行本で2億冊を突破するという前人未到の記録を打ち立て、コミックのみならずテレビアニメ、劇場版アニメ、「ONE PIECE展」の開催。さらに、コンビニなどでのグッズ販売など、至るところでキャラクターを目にするようになりました。
とくに2010年頃から、異常な盛り上がりを見せているのは、どうしてなのでしょうか?著者の樺沢紫苑さんは、
「大ブームが起きるのには、理由があります。おもしろい漫画、小説、映画はたくさんありますが、一時的に盛り上がることはあっても、 大ブームというほどには広がりません。一部の特定のファンに支持される作品はたくさんありますが、全国民的に支持されるには、『大衆』のニーズ、つまり多くの人達に共感される普遍的な『何か』に触れなくてはいけません」
と、解説します。
「大ブームを考察することで、現代の日本人のメンタリティが見えてくるはずです。『ONE PIECE』は、かつてこの世のすべてを手に入れた海賊王ゴールド・ロジャーが遣した『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』をめぐり、幾多の海賊たちが覇権を賭けて争う大海賊時代。ルフィが、海賊王を目指して仲間と共に冒険と戦いを繰り広げていく物語にワクワクする何かを感じます」
そう樺沢さんは話します。