激化する米中対立のとばっちり
そもそも、中国のティックトックがトランプ米大統領に目の敵にされる背景には、中国の一帯一路政策や貿易摩擦、人権問題などがあります。東シナ海や南シナ海への海洋進出、インドとの国境問題など周辺国との摩擦が強まっているうえ、香港や台湾問題に今回の新型コロナウイルスの発生源の問題と、「覇権国」米国としては「目に余る行為」が続いていることがあるのでしょう。
これに対し、トランプ米大統領は対中国強硬姿勢を一段と強めています。8月6日には、ティックトックを運営するバイトダンスに加えて、対話アプリの「微信(ウィーチャット)」のテンセントとの取引を、45日後から禁止する大統領令に署名しました。
米アップルやグーグルと取引できなくなれば、事実上、米国から両社のアプリが締め出されることになります。2018年以降、トランプ米大統領は中国通信大手のファーウェイを米国市場から排除してきましたが、それと同じことを通信アプリにまで広げようというわけです。
一方、ティックトックはこうした米中対立の悪化で、事業展開を大きく変更させる必要が生じています。当事者は米国と中国ですが、ティックトックを利用する人は日本にも大勢います。しかも、多くは若い人です。個人情報の漏えいは、もちろん気になりますが、急に「使えません」となったとき、どうなるのか――。そちらのほうが、もっと気になります。
今後、ティックトックのどの事業を、どの企業が買収するのか。また米国企業が買収したあとに、どのように運営していくのか、とても気になるので、今後もウォッチしていこうと思っています。
では、また!(馬医金満)