「待った」のリスクとだからこそ得たもの
悩んだあげく、わたしはバカ正直を貫き通すことに決めた。内定を出してくれていた会社に、「待った」と入社承諾書の提出期限の延長を申し出たのである。
リスクはあった。最悪の場合、「待った」というくらいなら内定も取り下げます、なんて言われかねない。どんなにうまく説明したとしても、「ああ、うちより志望度合が高い会社があるのね」と、いい印象は持たれないだろう。
でも、もうこうなったら、バカ正直らしく包み隠さず、自分の状況をぶちまけてしまおう。これでダメなら仕方ない、なるようになる!とまあまあな覚悟をして。
結果として、入社承諾書の提出期限を1か月ほど延長してもらうことができた。ふー。肩の荷が一つ下りた気分。最悪の事態にならなくて、本当によかった。
一般に、入社承諾書の提出締め切りは短く設定されていることが多く、「他社の選考がまだ残っているのにどうしよう!」となるのは、往々にしてあり得ることであると思う。バカ正直なわたしはこんなやり方になってしまったけれど、こういった状況に陥ったときの対応は、就活生によってそれぞれ異なるはず。正直に状況を説明するもよし。とりあえず承諾書を提出するもよし。わたしのやり方が最適だとも思わない。なんてったって、リスクありまくりの方法だし。
でも一つだけ、正直に話してよかったなと思ったのは、正直に自分の要求を会社に伝えた時に、その会社がどう対応してくれるかをわかったことである。就活生の要求にも柔軟に対応してくれる会社は、入社後に何か困ったことがあった時も柔軟に対応してくれるだろうなって思ったりした。
そういう意味でも、わたしにとって得るものがたくさんある「待った」だった。(叶多凛)