7年ぶりに帰ってきた銀行を舞台としたテレビドラマ「半沢直樹」が、出足好調なようです。前回シリーズは最終回の視聴率40%台という驚異的な数字をたたき出し、長年その続編制作が待たれていたことで、半沢ファンの渇望感が盛り上がっていたということでしょうか。
前回シリーズは、知られざる銀行内部のドロドロした実情を描き出したことと、勧善懲悪的なストーリーづくりが大いに受けたという感じだったのですが、今回も基本路線は同じ。どうやら「二匹目のドジョウ」は、確実にいたようです。
「決めゼリフ」が盛り上げる勧善懲悪の「時代劇」
ドラマの中身から申し上げれば、物語のベースにある銀行と証券子会社での客の奪い合いや親会社による子会社いじめの体質は、元銀行勤務者からみれば明らかな時代遅れ観は否めません。
しかし、そこは所詮フィクションであり、目くじらをたてても仕方なく、10年前の銀行界を舞台とした近「時代劇」であると割り切って、「水戸黄門」や「遠山の金さん」を観るのと同じノリで楽しめばいい、と思えます。現実に、この番組を楽しく見ている人の多くは、そんなノリで観ているのではないかと思うところでもあります。
「時代劇」と申し上げたのは、共通項として勧善懲悪を基本とした単純なストーリー仕立てがあり、「水戸黄門」「遠山の金さん」ではクライマックスに、黄門様の「皆の者頭が高い。天下の副将軍水戸光圀公なるぞ!」、金さんの「この桜吹雪に見覚えがねぇとは言わせねぇぞ」の決めゼリフが象徴的に使われます。
「半沢直樹」では、流行語にもなった、「やられたらやり返す。倍返しだ!」というセリフがそれにあたります。そんな決めゼリフもまた、視聴率アップにひと役買っているのではないかと思うのです。