新型コロナウイルスの感染拡大が封じ込められないまま、台風シーズンの8月を迎えた。7月に熊本県や岐阜県などの各地を襲った豪雨災害では、避難所が「3密」になる可能性があるため、被災地はその設置やソーシャルディスタンスの確保に腐心した。
コロナ禍での避難所需要に応える製品開発が活発になっている。
計測機器作りの加工技術生かしたパーティション
計測機器メーカーの和光精機株式会社(埼玉県和光市)は、コロナ禍での災害時避難所での使用を想定し、不織布をスクリーンに使ったパーティションを開発、近く発売する。2020年8月6日の発表。
和光精機は1963年の設立以来60年以上にわたって計測機器を作り続けてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で需要が落ち込み売り上げが激減。そこで、計測機器作りで培った加工技術を生かし、ネジを使わず組み立てが容易で倒れにくいフレームを製作するなどして、不織布をスクリーンに使えるパーティションを開発した。
周知のとおり、不織布はマスクなどに使われ、飛沫防止用でありながら通気性もよい。避難所でパーソナルスペースを確保するため設置しても、空気のよどみを防ぎ避難所内の換気の助けになる。
製品名は「エアトーレ」。不織布は交換可能で、不使用時にはフレームをはずして収納できる。
段ボールベッドに高機能マットをセット
ウレタン成形の専門メーカー、ワエストロ(埼玉県熊谷市)は、主力製品である防水ウレタンマットを、段ボールベッドなどと組み合わせた「防災セット」を開発した。8月7日の発表。近く、発売する。
災害時に避難所の設営・運営を主導する自治体や企業、病院などを販売先に想定している。
ワエストロの防水ウレタンマットは「くつろぎシリーズ」と名づけられ、カラーや模様などの別に、さまざまな種類を用意。高反発製ウレタンのため、6ミリメートルの薄さながら高いクッション性を持ち、利用者の肉体的ストレスを軽減する。撥水性のほか、断熱性能にも優れ、暑さ・寒さ対策にも効果的で吸音効果も期待できるという。
「防災セット」は、「くつろぎシリーズ」とのセットで、段ボールや緩衝材などを取り扱うカネパッケージ(埼玉県入間市)による段ボールベッドと茶殻入り段ボールパーティションを組み合わせた。ワエストロでは、「防災セット」を地元の埼玉県内はもとより、全国への普及を促したいとしている。