今回選んだ銘柄は、東証一部に上場している「シグマクシス」(6088)だ。
シグマクシスは、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の促進を支援する戦略系のコンサルティング企業として、AI(人工知能)などのデジタル技術を活用したサービス、組織・人材の活性化サービスなどを提供している。
「デジタル・コンサル」市場、将来有望かも!
近年、企業によるクラウドやAIの活用といったデジタル化の動きが目立っている。それに伴い、業務内容を見直す企業が多いことから、特にデジタル関連のコンサルティング業界は好調を維持してきた。
調査会社のIDCジャパンによれば、デジタル関連のビジネスコンサルティング市場の規模は、2019年に前年比36.3%増の967億円になったとみられており、2019~24年の年間平均成長率は25.0%の高成長を維持すると予測している。
新型コロナウイルス感染症による経済へのマイナスの影響は無視できないが、中長期的にはデジタル関連コンサル市場の成長は大いに期待できるだろう。
今回、デジタル関連のコンサル業界の中でも、シグマクシスを選んだ理由は、企業のデジタル化などの需要に対応する事業内容と、好調な業績である。
シグマクシスの強みの一つに、「コンサルティング×アライアンス」という形でサービスの提供・提案しているということが挙げられる。つまり、顧客企業の課題解決や新規事業の開発において、コンサルティングサービスの提供にとどまることなく、同社自らが出資して事業を運営することも視野に入れたうえで提案しているのだ。
コンサルティングサービスの具体例としては、企業向けクラウド・データプラットフォームとしてデータの一元管理を実現する「Snowflake」の導入、移行支援サービスやM&Aに関する戦略、事業管理方針、オペレーションをワンストップで支援するM&Aコンサルティング、完全リモートワーク時代の事業運営に関するソリューションの提供などが挙げられる。
業績、財務の安全性は文句なしだが......
次は、シグマクシスの業績を見ていきたい。2020年3月期の売上高は、コンサルタントの人員増などの影響で前年同期と比べて20.1%増の160億300万円、営業利益は74.2%増の22億1100万円、当期純利益は54.8%増の14億700万円と好調で、どれもここ数年は右肩上がりとなっている。
KPI(キー・パフォーマンス・インデックス)については、今期のプロジェクト数は前年同期比4%増の1165件、契約あたり売上高は15%増の1370万円などとなっており、事業は成長を続けている。
財務安全性を見てみると、総資産利益率(ROA)が14.6%、自己資本利益率(ROE)が27.9%、自己資本比率は52.1%であり、同業他社と比べても問題ない数値といえる。
では、株価チャートはどうか。1月17日に2365円の年初来高値を付けてから、3月19日に1024円の年初来安値を付けるまで下落。その後は上昇に転じ、6月初旬には一時1980円の値を付けたが、7月末時点では1600円付近で伸び悩んでいる。
シグマクシスには、現在の株価にも影響を与えている大きな懸念点が一つある。それは、同社の主要顧客が日本航空(JAL)ということだ。JALを顧客とした事業の今期の売上高は17億2000万円で、総売上高の約11%を占めている。
国内外での人の移動が前提となる航空業界は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うさまざまな規制や移動の自粛によって大きな打撃を受けており、株価は低迷し、今後の動向が読めない状況である。
したがって、7月31日のJALの2020年度3月期第1四半期の決算を受けて、シグマクシスの株価は大きく動くことが予想される。また、8月初旬に発表されるシグマクシスの2020年度3月期第1四半期の決算に、JALの業績の影響がどれだけ表れているのかを注視すべきであろう。
この2社の決算内容や、決算発表を経てシグマクシスの株価がどう動くかを予測することは困難であるため、このタイミングでのシグマクシスの株式購入は見送りたいと考える。
シグマクシス(6088)
年初来高値(2020年1月17日) 2365円
年初来安値(2020年3月19日) 1024円
直近の株価(2020年7月31日) 1556円
取得株数 な し
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