一時は収束に向かうかにみられた新型コロナウイルスの感染拡大は、引き続き勢いに衰えがみられず、「感染第2波」の様相を呈している。
そうしたなか、影響が大きい飲食店や小売店では、この逆風に打ち勝つためにウィズコロナ仕様の対策を進めている。
いち早く立ち上げた自社システムを開放
東京都八王子市を中心に、東京・多摩地区などで12店舗を展開するバーゼル洋菓子店は、コロナ禍の自粛が始まった2020年4月にいち早く、インターネットを使った自社のデリバリーシステム、BASEL DELIVERY SERVICE(バーゼルデリバリーサービス)を立ち上げた。
来店できなくなった顧客の要望を受けてスタート。緊急事態宣言時の難局を乗り越えた。同社は、このデリバリーサービスがコロナ禍の地域経済全体にも有効と考え、他の商店や特産品を扱う業者にも活用してもらおうと開放することにした。8月6日の発表。
バーゼル洋菓子店のデリバリーサービスは、配送日の14日前から予約受付を開始。利用の内訳は、家庭での誕生日会や会社施設でのイベントなどでの利用と、ランチやおやつ時間、ディナーなど日常的な利用が半々。ケーキや焼き菓子のほか、カレーやデリカ総菜、パンの注文も増えているという。
同社が、デリバリーサービスの開放を決めたのは、コロナ禍の収束が見通せない中で、飲食店にとっては、東京都で新たに営業時間の短縮要請が出されるなど厳しい状況を強いられているため。「店舗運営だけでは経済的に厳しく、一方でデリバリー需要に応えたくても人員的な余裕がない、大手のデリバリーサービスでは経済的な条件面で合わず利用できないなど、結果的にデリバリー対応できていないとの声も多く聞いた」という。
他社からの依頼は1配送あたり1000円(税別)で受託。配送だけではなく、デリバリーサービスを開始するのに必要な、デリバリーサイトでの商品の紹介、商品写真の撮影を行い、受注、ピックアップも行う。9月末までは、それらの費用はバーゼル洋菓子店側で負担する。
コロナ対策で路面占有特例のオープンカフェも
飲食店で、デリバリーサービスと並んで導入が加速しているのは、非接触化のためのさまざまなロボットたちだ。居酒屋チェーンでもその動きが現れてきた。
コロワイドグループの株式会社レインズインターナショナル(神奈川県横浜市)が運営する「居酒家 土間土間」では、東京都港区の赤坂店で2020年7月末から、配膳ロボットを使った実証実験を行っている。
POS、オーダーエントリーシステムの企画・開発を手がける株式会社日本システムプロジェクトが8月6日に明らかにしたもので、実験を担っているのは、同社が総代理店になっているフロアロボット「PEANUT(ピーナッツ)」だ。
PEANUTは、飲食店のマッピングデータと複数のセンサーで自律的に判断し、料理を自動でお客の席まで運び、音声で料理の到着を案内する。店内の状況に応じて走行速度を設定できる。
実験は10月30日まで行われ、この間、お客とホールスタッフの直接的な接触機会が減少し、感染予防対策の有効手段になるのか、検証する。
◆ 路上を利用したカフェ、占用許可の基準緩和で可能に
政府の緊急措置を利用して3密対策をアピールする動きもある。
東京都立川市や国立市で不動産開発や飲食店経営を行う株式会社大野開発(東京都立川市)は、新型コロナ対策として実施された道路占用特例を利用して8月7日から11月30日まで、立川市の自転車・歩行者専用道路「サンサンロード」で、道路に面した系列の飲食店「akariバル」の営業を行う。8月5日の発表。
道路の占用特例は、国土交通省が6月5日、。コロナ禍の影響を受ける飲食店などの支援を目的に、路上利用に伴う道路占用の緊急措置として許可基準を緩和した。
サンサンロードは、今年4月にオープンした大型商業施設や、年間450万人が訪れる昭和記念公園への導線となる遊歩道。