GAFAのようなイノベーションを実現する会社は「3階建て」構造だ!

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必要なのは「破壊的イノベーション」

   イノベーションを起こし続ける企業の組織体制として著者が提案するのは「3階建て構造」だ。既存事業であるコアビジネスを1階に置き、2階には「新規事業」に取り組む部門を配す。そして3階で「イノベーション」を手がける。各部門には、それぞれ異なる評価基準を設け、それぞれで働く従業員が、仕事の方向性きちんと把握できる体制にする。

   2階の「新規事業」と3階の「イノベーション」の違いはこうだ。2階では、既存商品に関連した事業や、新たにできつつある市場に対応した、いわば現実的な事業を行うのに対し、3階は「破壊的イノベーション」だ。

   2階の「新規事業」はたとえば、これまで液晶テレビを高画質化した「4K」や、ガソリンで走っていた自動車をハイブリッド化することなどだが、日本の企業は、短期的は利益に目を奪われ、こうした新規事業に集中しがち。

   しかし、この場合はしばしば顧客が望んでいないものが事業化され、価格が高騰しそっぽを向かれてしまいかねない。

   これに対し、破壊的イノベーションは、まったく新しい、未来の市場を生み出す行為。たとえば、動画配信の例が挙げられる。誰もが容易に動画を扱えるようになり、破壊的イノベーションで開拓された市場はその後、持続的イノベーションにより成長をもたらしている。

   ただ、この3階の事業では失敗も多い。3階建て構造では、組織をはっきりと分離しKPI(重要業績評価指標)を分け、3階の場合は「空振り」ばかりでも評価される仕組みにしなければならない。

   3階の「破壊的イノベーション」で市場が開拓できたら、事業を2階に移管。市場ができあがり成熟したときにはさらに1階に移しコアビジネスにする。GAFAが実践しているのは、こういったサイクルだという。

「御社の新規事業はなぜ失敗するのか? 企業発イノベーションの科学」
田所雅之
光文社
税別840円

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