次世代通信規格「5G」や人工知能(AI)の活用で進化が見込まれている「遠隔」や「非接触」の技術が、新型コロナウイルスの感染拡大で、その用途が急速に広がっている。
開錠や施錠は遠隔操作
大阪府高槻市の不動産会社、株式会社SAKURAは、「完全無人モデルハウス」を開発し、同市内で稼働を始めた。2020年8月5日の発表。担当者に代わって説明役を務めるのはAIだ。モデルハウスの開錠や施錠は遠隔操作で行われる。
モデルハウス内では、設置してあるQRコードをスマートフォンで読み取るとAIによる説明がスタート。AIによる説明は、住まいについての詳細のほか、間取りについて融通がきくことや、資金計画などまで、住宅購入のアドバイスが用意されている。
コロナ対策の一つとして導入。同社では、初対面の案内スタッフとの気まずい間や、意にそわない営業提案への不安がなくなるなど、「ストレスフリーな環境」もアピールしている。
モデルハウスを見学するには、まず入口看板のQRコードからLINEの友達登録を行う。そして、誘導された開錠専用エントリーフォームに必要事項を入力すると、遠隔操作で開錠される。見学後、LINEトークで帰る旨を送信すれば、施錠される。
タスク・アンビエント照明を応用
住居や事務所など屋内で不特定多数の人が触れる可能性がある照明の操作を、タッチレスにする提案もある。
工作機械の周辺機器などの輸出入を行っている株式会社キャプテンインダストリーズ(東京都江戸川区)は、ウィズコロナの「新しい生活様式」に対応した、タッチレス照明の運用を体験できるショールームを開設する。8月3日の発表。ショールームは8月7日にオープンする。
キャプテンインダストリーズは、タスク・アンビエント照明で知られるドイツのバルトマン社の日本での販売権を持っており、同社の「スイッチに触らない照明」の日本仕様製品が開発されたのを受けて、コロナ禍の新提案の場としてショールームを設けた。
タスク・アンビエント照明は、部屋全体のアンビエント照明と、作業に必要なタスク照明を組み合わせることで節電につながるとされ、欧州では事務所などで導入されている。
ショールームには、スイッチに触れず、電源のオンオフの操作ができる人感センサーを搭載した室内照明や、スマホのアプリで操作できる据え置きタイプの間接照明を設置。オフィスや会議室など想定されるシーン別に体感できるようになっている。ショールームは、法人向けで事前予約制。