新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、もはや危機的状況の飲食業界にあって、経営者や店主らは生き残りのために、テイクアウトやデリバリーを展開。さらに一歩進めた、これまで発想しなかったようなイノベーション的取り組みが求められている。
そうしたなか、飲食店向けに新たな収益確保の手法を提供したいと、名乗りをあげる企業が現れた。店舗のスペースに製造業者や職人らの製品を展示できるようスペース提供者と製造者をマッチングするサービス「カタルスペース」を提供する株式会社Catalu JAPAN(カタル ジャパン、東京都千代田区)だ。
製品の作り手と店側との要望が一致
「カタルスペース」は、製品の作り手とスペース提供者である飲食店などを繋ぐプラットフォーム。作り手(製造者)には製品の展示チャンスを与え、飲食店にはスペースを使ってもらうほか、店舗の顧客層に合った製品が展示され、販売が成立すれば成果報酬が入る仕組みだ。
店舗にはあらかじめQRコードや、スマートフォンで読み取れるNFCチップを内蔵したプレートを設置し、それらから任意の情報サイトやイベントサイト、ECサイトへの誘導につなぐこともできる。
「カタルスペース」は2019年4月にスタートし、これまでに100超の店舗でサービスが導入されている。20年7月には、それまでの製品プロモーション、スペース活用の機能に加え、販売に応じた成果報酬やECモールの機能を付与。「コロナ禍に対応した新たな販売手法・収益化のプラットフォーム」に強化した。
Catalu JAPANでは、この強化策をステップに、飲食店での「カタルスペース」のサービス導入を推進するため、8月4日に東京ガスとの業務提携の契約締結を発表。東京ガスと協力して、同社とガスまたは電気を契約している飲食店を中心に、物販によるビジネスの可能性を訴え、コロナ禍で苦難に直面している飲食店の新たな収益確保のための手法の一つとして提案していく。
Catalu JAPANによると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、飲食店やサービス業者は危機的な状況に直面している一方、製品を製造・販売するメーカー側も展示会の中止が相次ぐなど、従来の販路開拓手法で顧客にアプローチできないことから、その打開策を模索している。
そうしたなかで、「カタルスペース」は、来店客が減少している店舗にとっても、新たな販路開拓を望む製造業者にとっても有効な支援になりそうだ。