東証第1部への「駆け込み」上場を果たす企業はどこだ!
また、従来は赤字上場が難しかったが、今回の改正で「中長期的な企業価値の向上のための投資によって一時的に赤字を計上している場合には、当該投資の内容やそれを踏まえた企業全体の業績動向、今後の見通し等が勘案される」こととなった。
これにより、スタートアップ後のベンチャー企業などでも、特にバイオ関連企業やIT関連企業では市場第1部への上場の道が拓けることとなる。
さて、市場第2部とJASDAQスタンダード、東証マザーズの市場も簡単に触れておく。各市場への新規上場基準は、以下のとおり。
<市場第2部、JASDAQ スタンダードの新規上場基準>
・ 株主数=400人以上
・ 流通株式数=2000単位以上
・ 流通株式時価総額=10億円以上
・ 流通株式比率=25%以上
・ 経営成績=最近1年間における経常利益が1億円以上
・ 財政状態=純資産が黒字
<東証マザーズの新規上場基準>
・ 株主数=150人以上
・ 流通株式数=1000単位以上
・ 流通株式時価総額=5億円以上
・ 流通株式比率=25%以上
市場第2部とJASDAQスタンダードでは、新規上場基準が統一された。加えて、市場第2部で適用されているコーポレートガバナンス・コードの全原則がJASDAQスタンダードでも適用されることとなった。また、東証マザーズでは上場基準に加え、リスク情報等の開示の適切性審査に「事業計画及び成長可能性に関する事項」が加わった。
さて、東証の市場再編制度の改正は11月1日に実施される。このため、現在、市場第2部と東証マザーズに上場している企業は、10月末までに市場第1部への昇格を申請すれば、現在の時価総額40億円以上という基準が適用される。
10月末まではすでに3か月を切っている。市場第1部への駆け込み上場が、どの程度の企業数になるのか――。コロナ禍で、業績悪化を余儀なくされるであろう企業が少なくないだけに、その数とどのような企業なのか、注目される。(鷲尾香一)