新型コロナウイルスの感染拡大が全国に広がるなか、お盆の期間中の帰省をめぐり、政府内の対立が表面化した。
新型コロナ対策の担当大臣である西村康稔経済産業相が「地方の高齢者に感染が拡大する心配がある。帰省は慎重に」と呼びかけると、菅義偉官房長官が「帰省の自粛を求めているわけではない」と真っ向から否定したのだ。
いったい、どうなっているのか。全国の知事の中には「自粛」を要請する人も多い。ネット民からも怒りの声があがっている。
三重知事が「緊急宣言」、中国5知事が連名の「自粛」要請
しかし、地方の知事たちにとっては、政府内の混乱は迷惑以外の何物でもない。全国に感染拡大が広がる「お盆の帰省」についてこんな警戒の声が上がっている。
「帰省の自粛」反対派の大阪府の吉村洋文知事でさえ、
「体調管理や感染症対策をしっかりやって帰省すること自体は問題ない。家族間の話なのだから、役所がやめてくださいというのは違うと思う」
と言いつつも、
「(親族同士が飲み会を開くことまで)自粛というならGo Toトラベルキャンペーンもやめるべきではないか」
と、政府のちぐはぐな対応を批判した。
多くの知事が「帰省の自粛」を求めている。8月3日に過去最多の20人の感染者を出した三重県の鈴木英敬知事は県独自の「緊急警戒宣言」を出し、感染防止対策が不十分な飲食店の利用や、感染者が増えている県外の繁華街との不要不急の往来の自粛などを県民に求めた。
広島県や岡山県など中国地方5県で構成する中国地方知事会が8月3日、「ふるさとへの帰省について、もう一度家族と相談して」とする共同メッセージを発表した。同知事会会長の伊原木隆太岡山県知事はこう呼びかけた。
「本当に帰省するべきかどうか真剣に考えてほしい。リスクがあるなら帰省しないのが一番。『リモート帰省』がおすすめです」
同知事会の鳥取県の平井伸治知事も、こう強調した。
「果たして本当に今帰省が必要かをご考察いただきたい。『今ですか』という問いかけです」
秋田県の佐竹敬久知事は、はっきりと県民に「子どもたちの帰省を断ってほしい」と呼びかけた。
「秋田県は高齢者が多いです。高齢者の感染は直ちに命にかかわります。県内の家族の皆様には、県外に住む学生たちに帰省の自粛を呼びかけるようにお願いします」
名古屋市を中心に感染者が急増している愛知県の大村秀章知事も、
「愛知県は厳重警戒の状況です。すでに不要不急の行動の自粛、20代・30代の行動の自粛、東京方面への移動の自粛をお願いしていますが、いまの感染状況が続けば、お盆休みの移動と行動の自粛も呼びかけざるをえません」
と危機感を露わにしたのだった。
ヤフーニュースが「みんなの意見」で、今夏帰省する予定があるかをアンケートと調査をすると(8月4日14時30分現在、5万8531票)、「予定していない」(70.9%)、「予定している」(13.4%)、「検討している」(13.3%)、「すでに帰省した」(2.4%)という結果だった。