「独走」しすぎて官邸や他省庁の反発を買う西村氏
お盆の説明をめぐる政府内の説明のちぐはぐぶりについて、朝日新聞(8月4日付)「お盆帰省、政府説明ちぐはぐ 西村担当相『慎重に』 菅氏『一律に控えて、ではない』」がこう伝える。
「菅氏が帰省など人の移動の自粛に慎重なのは、自ら主導したGo Toトラベル事業との整合性が問われかねないとの事情がある。菅氏は観光業界が『瀕死の状態だ』として、支援策を継続する考えを改めて示した。ただ、高齢者への感染リスクを強調する西村氏と、経済への悪影響をさけることを重視する菅氏の言いぶりの違いは、国民の混乱につながりかねない。共産党の小池晃書記局長は『大臣によって言うことが違う。これは、危機管理において最悪だ』と批判した」
読売新聞(8月4日付)「菅氏『帰省自粛』求めず 政府分科会で議論へ」も同じ政権与党から説明に食い違いに批判が出ていることを報じた。
「公明党の山口代表は政府・与党連絡会議の席上、『感染拡大が地方にも波及し、歯止めがかからない状況に国民の不安が日増しに高まっている』と、国民へのわかりやすい説明を政府に求めた」
毎日新聞(8月4日付)「西村氏発信効果は コロナ担当相、連続会見100日」は、西村氏が8月4日まで土日祝日を含めて100日間、1日も休まず記者会見を続けていることを評価したうえで、その「独走」ぶりが首相官邸や他省庁の反発を買っている側面を伝えている。
「テレビ番組で、厚生労働省が所管する担当外の『雇用調整助成金』の上限引き上げに関し、『安倍晋三総理から指示が出ているので、その方向でやります』と明言。首相は翌日の会見で『助成金拡充』に触れたが、首相周辺は総理も『そんな指示したっけ?』と驚いていたと漏らした」
また、こんなエピソードも紹介している。
「政府の専門家会議を『分科会』に改組するとの発表の際に、『これを廃止する』と勇み足。会議メンバーが困惑し、西村氏自身が公明党に陳謝する一幕もあった。他省庁からは『こちらの所管だ』『ムカッときた』などの反発の声も上がった」
こうした政府内の調整もなく勝手に動く「行動力」が菅官房長官との軋轢を生んでいるようだ。
(福田和郎)