3年前から開発に着手
吉野家ホールディングスの2020年3月の既存店売上高は、前年同月比98.2%と微減にとどまり、ファミレスや居酒屋チェーンが2~4割減を強いられるなか、健闘した。それを支えたのは、テイクアウト注文を積極的に受けるリスク分散。吉野家では20年2月、従来の店頭テークアウトに加え、スマホで注文して店舗で受け取るモバイルオーダーサービスの全国展開をスタートしており、待ち時間がない利便性が好評を博した。
吉野家は2017年から、モバイルオーダーの開発に着手。店舗オペレーションを変更することがない販売方法や、POSレジと連携させた店舗注文とモバイル注文とを一元管理できるシステムの開発のため連携企業を慎重に選びながら作業を進めてきた。
新型コロナの影響が一過性でないことがわかってからは、POSレジのサービス会社をはじめ、ソリューションサービス会社やフードデリバリー事業者などがこぞって飲食店向けに、オンラインで注文を受けるシステムの売り込みを行うようになっており、吉野家は時代を先取りしたといえそうだ。
本書では、消費者向けサービスばかりではなく、ニューノーマルの働き方改革なども紹介。各企業でコロナをきっかけに導入され定着化したテレワークについて、富士通では以前から一部で、育児や介護による離職を防ぐための施策として導入していたことを紹介。コロナ禍での感染予防目的による全社導入を経て、当面の危機が去った後も定着。こうしたことをきかっけに、同社では通勤定期代を廃止し、オフィスの半減を目指しており「ワークスタイルや居住地選びが根本的に変わる出来事」と指摘している。
「ニューノーマル時代のビジネス革命」
日経クロストレンド/藤元健太郎著
日経BP
税別1600円