「世界の人口は2064年に約97億人でピークを付け、21世紀末までに約88億人まで減少する」という予測を、米国ワシントン大学医学校の保健指標評価研究所が、医学誌ランセットに発表した。
日本の人口は2017年の約1億2800万人から、2100年には5300万人以下に減少すると予測している。日本は少子高齢化による人口減少の「先進国」なのだ。
2100年、アフリカの人口が世界の半分を占める!?
米保健指標評価研究所によると、世界の人口の減少は「女性が教育を受ける機会や避妊の機会が増える」ことによる合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子どもの数)の低下によるとしている。
世界の合計特殊出生率は、1950年には平均4.7人だったが、2017年にはほぼ半減し2.4人となり、2100年までには1.7人を下回ると予測している。合計特殊出生率は2100年までに世界195か国のうち183か国で人口を維持するために必要な「女性1人当たり2.1人の出生数」を下回ると予測している。
一方で、出生率の低下とともに長寿化による高齢化が進み、2100年の世界の人口は65歳以上が23億7000万人にまで膨れ上がり、その半面、20歳未満は17億人にとどまると予測している。
また、5歳未満の人口は2017年の約6億8100万人から2100年には約4億100万人に減少。その一方で、80歳以上の人口が 2017年の約1億4100万人から2100年には約8億6600万人にまで急増する。80歳を迎える人口が出生数を上回ることで、各国で劇的に高齢化が進むとしている。
国別・地域別でみると、イタリアの人口は日本と同様に、2017年の約6100万人から2100年には約2800万人へと激減するとみられている。日本やイタリアに加え、スペイン、ポルトガル、タイ、韓国など23か国の人口は50%以上減少すると予想されており、これは人口の減少だけではなく、高齢化が一段と進むことで経済成長に大きな影響をもたらすと指摘している。
世界で最も人口の多い中国では、今後4年でピークの約14億人に達し、その後は2100年までに半数近く減少して約7億3200万人になると予測。人口減少の緩やかなインドが世界一の人口となると予測されている。
しかし、中国やインドでは急増してきた人口が激減することで生産年齢人口が激減し、経済成長が阻害され、労働力や社会制度の維持に悪影響が出る可能性があると指摘している。
一方、アフリカのサハラ砂漠以南の国の人口は、2017年の推定10億3000万人から2100年には30億7000万人へと3倍に増加する可能性があり、特にナイジェリアの人口は約7億9100万人に増加し、世界で2番目となる可能性がある。アフリカの人口が、世界の半分近くを占めるようになると予想している。