2020年7月31日、新型コロナウイルスの全国の新たな感染者が1580人に達し、過去最多を記録した。なかでも東京都は463人と初の400人台に乗り、衝撃が走った。
政府の感染症対策分科会は同日、感染状況をレベル0~3の4段階に分けて対策を講じる案を政府に提言したが、具体的な指標は来週以降に持ち越した。
こうした政府の無策ぶりに、沖縄県や岐阜県など、全国の知事の中には県独自の「緊急事態宣言」出すところが相次いだ。
小池都知事「独自の緊急事態宣言も考えます」
「新規感染者463人!」という衝撃的な数字を受け、7月31日14時から臨時記者会見に臨んだ東京都の小池百合子知事は、開口一番こう述べた。
「きのうの367人からおよそ100人増えました。もちろん最多人数です。状況がさらに悪化したら、コロナ対策をしっかり打つという意味では、都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるをえなくなります」
と強い危機感をあらわにした。
そのうえで、今年の夏休みについて、
「旅行やイベントも計画されていると思いますが、今年は残念ながら例年と違う夏になります。今ここで対策を緩めてはいけません。その意識を皆さんと共有させていただき、感染拡大防止の取り組みを加速していきます」
と述べ、政府が主導している「GoToトラベルキャンペーン」を念頭に都外への移動の自粛徹底を呼びかけたのだ。
小池知事はすでに前日の30日、都内全域の酒類を提供する飲食店と全カラオケ店に対し、営業時間を22時までに短縮するよう要請すると発表している。期間は8月3日~31日まで。応じた事業者には協力金20万円を支給する。接待を伴う飲食店に関しては休業要請を求める声もあったが、小池知事は、
「コロナとの長い闘いを見据えた時、完全に営業をやめてもらうのは現実的な選択肢ではない。都民のみなさんに夜間の繁華街への外出や会食目的での外出は控えていただきたい」
と、これまでのどおりの決まり文句を述べただけだった。
一方、安倍首相が7月31日17時過ぎ、記者団前に現れ、こう述べた。
「現在の感染状況をわれわれ、高い緊張感を持って注視をしています。まずは、徹底検査。陽性者の早期発見、治療を進めていきます。重症化予防が極めて重要。本日も専門家の皆さまからご意見をうかがいましたが、地方自治体としっかりと連携をとりながら、必要な対応を講じます」
と述べ、緊急事態宣言を再び出すかどうか、あるいはGoToトラベルキャンペーンの見直しなどについてどうするかなど、具体的なことは何も言及しなかった。
人口比で最大の感染者の沖縄が緊急事態宣言発令
「都独自の緊急事態宣言」に言及した小池都知事と同様に、腰の重い政府の姿勢に憤る各地の知事の中には、独自に緊急事態宣言を出す動きや、休業要請に踏み切るところが相次いでいる。
7月31日付の主要メディア(オンライン版)の報道をまとめると、まず県独自の「第2波非常事態」を7月31日に発令したのは岐阜県の古田肇知事だ。岐阜県内では7月に入り感染者が急増。その6割が隣の愛知県由来だ。しかも大学のコンパでのクラスターが多いことから、古田知事は「若者」「学校」「名古屋」「お酒を伴う飲食」の4つのキーワードをあげ、県民に「名古屋での飲食の回避」を呼びかけた。
その愛知県でも大村秀章知事が7月30日、名古屋市の風俗店などが密集する地域に絞って独自の緊急事態宣言を出す可能性を示唆した。ただ、会見で大村知事は「具体的にどうするかというと、これから注視し分析・検証して考えていく」と語るにとどめた。
人口比の割合では全国最多の感染者を出している沖縄県では玉城デニー知事が7月31日、県独自の「緊急事態宣言」を発令すること決めた。県内の全飲食店に営業時間を5時から22時までに短縮するよう要請した。また、特にクラスターが発生している那覇市松山地域に店舗を構える接待を伴う飲食店には8月1日~15日まで休業要請を行う。応じた事業者には20万円の協力金を支払う。
感染者が東京都に次いで多い大阪府では、吉村洋文知事が5人以上の飲み会の自粛を府民に呼びかける一方、感染者が急増している大阪市のミナミの繁華街の飲食店に10日単位で休業要請を出す。休業中は大阪府、大阪市からそれぞれ1万円の計2万円の2支援金を出す。
2飲食店関係のクラスターが多く発生している鹿児島県は、他県に先んじて7月8日~21日に、県内全域で接待を伴う飲食店に休業を要請、20~30万円の協力金を配った。宮崎県も接待を伴う飲食店に休業を要請、応じた店舗に10万円、営業時間を短縮した店舗に5万円を支払う予定だ。北海道小樽市は1店舗あたり20万円の協力金を支払うことを決めた。
京都府も7月31日、京都市内の飲食店を中心にクラスターが発生しているため、「飲み会などは2時間程度」とするよう府民に呼びかけることを決めた。
(福田和郎)