【襲来!新型コロナウイルス】「第1号」登場にプレッシャーから解放された岩手県民「勇気ある行動だ」「責めないでほしい」コールが起こるわけ?

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   第2波が来たのだろうか、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。2020年7月29日には、全国の感染者が新たに1259人確認され、過去最多となった。

   そんななか、「感染者ゼロ」を続けてきた岩手県に、初の感染者が出た。達増拓也知事や地元メディアは「第1号の人を責めないで。温かく共感をもってほしいと」と訴えている。

   これで、岩手県民もプレッシャーから解放されるだろうか? 地元メディアをネットの声を拾うと――。

  • 7月29日の記者会見で「感染第1号の人を責めないで」と語る達増拓也知事(岩手県庁の公式サイト動画より)
    7月29日の記者会見で「感染第1号の人を責めないで」と語る達増拓也知事(岩手県庁の公式サイト動画より)
  • 7月29日の記者会見で「感染第1号の人を責めないで」と語る達増拓也知事(岩手県庁の公式サイト動画より)

関東のキャンプ場のテントで雑魚寝、車中泊が原因か?

   岩手県民にとって衝撃的なニュースが飛び込んできたのは2020年7月29日19時1分だった。地元テレビIBC岩手放送のニュース番組の最中に「緊急速報」のテロップが流れ、アナウンサーが次のように読み上げた。

「岩手県は29日、県内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたと発表しました。岩手県は全国の都道府県で唯一、感染者が確認されていませんでした」

   初の感染者は2人だった。盛岡市の男性(40代)と宮古市の男性(30代)である。20時から岩手県庁で達増拓也知事と谷藤裕明盛岡市長が共同で臨時会見を開き、詳細を明らかにした。

   岩手日日新聞(7月29日付オンライン版)「県内初 新型コロナ感染確認 盛岡、宮古の男性2人 濃厚接触者把握急ぐ」が、こう伝える。

「岩手県によると、盛岡市の男性は22日に自家用車で関東のキャンプ場に移動し、県外の友人男性3人と車中泊した後、23~26日まで同じテントで宿泊。26日にキャンプ場を自家用車で出発し、帰宅途中に県内を含む3か所の高速道のサービスエリアに立ち寄った。27、28日は職場に自家用車で出勤し、勤務中はマスクを着用していた。宮古市の男性は27日に発熱外来で民間検査を受け、29日に陽性が確認されたが、どこで感染したかは不明だ」

   盛岡市の男性は、28日にキャンプに参加した友人1人から新型コロナの陽性が確認されたとの連絡を受けて専門機関を受診し、PCR検査の結果、陽性が確認されたのだった。キャンプに参加した友人はせき込んでおり、男性本人も27日頃から軽いせきやのどに違和感があったが熱はなく、27日から出勤していた。

   いずれにしろ、キャンプ中は車中泊をしたり、同じテントに雑魚寝したりして「密」の状態だったわけだ。ちなみに、キャンプの場所は「東京」以外の関東としか発表されていない。

   達増拓也知事は、記者団から「知事はいつも第1号の感染者が出ても、けっしてとがめないと語っていたが、気持ちに変わりはないか」と聞かれると、

「新型コロナは誰でも感染するので、岩手県でも例外ではない。感染した方にお見舞いを申し上げたい。皆さんも共感を持っていただきたい」

と、責めないでほしいと強調したのだった。

岩手県民「検査を恐れていただけで感染者は多くいた」

   ネット上では、第1号の感染者が勇気をもって検査を受けたことに称賛の声があがっている。

「これまで0人だっただけにとても勇気のいる行動だと思う。よく勇気をだして検査に行かれました。よく行動経歴を言ってくれました。叩かれないことを祈りたいけど(叩かれそうだけど)、重症化しないことをお祈りします。治療に専念してください」
「岩手県知事は一人目を責めないであげてください、と言っているが、本当にそう思います。地方に行くほど、感染者に対する差別がひどいと感じます。私の住んでいる県の最初の感染者の方は、近所からいろいろ言われ、小学生の子供さんも友達から避けられ、挙げ句の果てには奥さんは実家に帰り、離婚されたそうです」
「私の住んでいる県は最後の4県まで出ていなかったのですが、最初に確認された方が大変だったと聞いて苦しくなりましたね。一家で引っ越しされて、お父様は仕事も辞められたとか。こんなこと言っては駄目ですが、第1波(?)の時にすべての県で確認されていたほうがよかったのではと思ってしまいます」
「岩手の人たちは、今まで他県の人よりもプレッシャーを感じながら、特に気をつけていたはず。これだけ人の往来が自由にできて、今日まで0人だったなんて奇跡といってもいい。本当にすばらしいです。そっちに目を向けるべきです」

   岩手県民からは「じつは感染者は前からいたはずだ」という声が――。

「岩手県民です。速報が出た時は子どもたちと大騒ぎしましたが......。7月23日~26日の連休中には他県の旅行者らしき方を多く見かけたので、1週間後あたりにはもっと増えていると思います。第1号だからと言って、もう詮索しようと思う人は少なくなるのではないでしょうか」
「岩手県民です。無症状感染者はもちろん、思い当たる症状があっても言えなかった人は私を含めて多くいるのではないでしょうか。感染者を出してはいけない、絶対に第1号になってはいけないというプレッシャーが凄かったので、熱やせきが続いても病院に行かない人が多かったです」
「岩手日報の特集記事で読みましたが、岩手県の人口あたりのPCR検査数は隣の宮城、山形、秋田の5分の1。鳥取や島根よりも少なく、全国最少だそうです。県がPCR検査を絞っているのです。だから、検査を受けにくい雰囲気があるのです。本当は感染者がたくさんいると思いますよ」
「盛岡の男性は、厳密に言えば『感染をばれるのを覚悟でPCR検査を受けた、岩手県内で初めての勇気ある人』でしょうね。感染者はいままでも間違いなくいます。責められるのを恐れて検査を受けてないから露見しなかっただけ。プレッシャーもあったろうに、回りの迷惑を考えてちゃんと検査した勇気に称賛です。早く良くなりますように」

   他県からは、こんな岩手の人々に「お疲れ様」コールが起こっている。

「これで、第1号の人にバッシングがひとつも出なかったら、岩手の皆さんの穏やかさを尊敬する!仏様か!と思います。関東人でも、この時期他県にキャンプに行って感染してきた人に、勇気あるね、頑張ったね、とは言えないなあ」
「岩手県民はプレッシャーから解放されてホッとしている人が多いんじゃない? 岩手出身の友人2人(都内住み)が『これでやっと帰れる』と喜んでいました。大変なプレッシャーだったでしょうけど、これから堰をきったように感染者が増えないとよいですが」

(福田和郎)

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