「土下座は安倍でもあり、安倍ではないかもしれない」
あわてたのは植物園のキム園長だ。「外交問題への飛び火は望まない」として除幕式の中止を明らかにしたうえ、「あの像は安倍首相ではない」と言い出したのだ。
WOW!KOREA(7月29日付)「日韓論争の『永遠の贖罪』像、土下座の人物は安倍総理なのか? 園長が改めて肉声インタビュー」を読むと、マスコミ各社のインタビューを受けたキム園長もう支離滅裂の状態である。インタビューを再現すると、こんな按配だ。
―― 近況は?
キム園長「昨夜、一睡もできなかった。たくさんの電話がかかってくる」
――像は私費で製作したのか?
キム園長「私のポケットから出してやりました。(しかし)それをどこかから支援を受けてやったことだと人々が曲がった解釈をしているので困っている」
――土下座の男性が安倍首相であり、国家元首を侮辱することは外交慣例に反するとの意見がある。安倍首相なのか?
キム園長「いいえ、安倍であったらいいという発言はしたが、誰であるかは特定していない。責任を負うことができる人が謝罪してほしい。安倍だとしても仕方がない」
――どういうことか?
キム園長「安倍が謝罪するならば安倍だし、その次に誰かが謝罪するならば、その人物にもなれる。(土下座の人物は)謝罪する誰かであり、安倍を指しているということではありません。なぜならば、安倍はもうすぐ(首相を)やめる人でしょう?」
――除幕式を延期したが、像をどうするつもりか?
キム園長「像を片づけるつもりはない。我が家の庭に建てたものを、隣の家で何か言うからと倉庫に入れることもできないだろうし。来る人は、見ることができるし、一緒に写真も撮ることも出来る。個人の考えを作品化したこと、それ以上でも以下でもない。問題になることを望んではいません」
キム園長はかなりしたたかな人物らしい。学生時代は活動家で鳴らした。像を撤去するつもりはさらさらないようだ。聯合ニュース(7月28日付)の取材に対しては、「私は庭の草むしりをしている70代の年寄りだ」と言いつつも、
「日本政府は、民間の植物園に個人的な資金で個人の考えを表現したことに干渉するもので、まったく気にしない。わが韓国政府も庭の造形物に干渉などしないと考える」
とキッパリ話しているのだ。
(福田和郎)