ホテル・旅館業界の人材を業界内で再就職支援
コロナ禍では、ホテル・旅館業界が、経済的に厳しい状況に追い込まれている。2019年夏ごろから、日韓輸出規制問題などで韓国人旅行者が激減。コロナ禍以前から厳しい状況にあったが、加えて東京オリンピック・パラリンピックの延期が決定打になった。感染拡大が続けば、ホテル・旅館のさらなる経営悪化が見込まれ、人員削減などダウンサイジング、勢い倒産の増加が予想される。
ホテル業界に特化した人材マネージメントを提供し、求人情報サイト「ホテル求人ドットコム」を運営する株式会社アイ・エヌ・ジー・エンタープライズ(東京都文京区)は、人員削減策で退職勧奨を受けたり、解雇されたりした労働者向けに、ホテル業界に特化したアウトプレースメント(再就職支援)サービスを始めた。7月28日の発表。
国内での再就職支援事業は、経営破たんする企業が続出したバブル経済崩壊後の1990年代半ばに大手人材サービス会社が手掛け、ビジネスとして定着した。アイ・エヌ・ジー・エンタープライズは、コロナ禍で再び、そのニーズが高まるとみて取り組みを始めた。
離職者のフォローをきめ細かくオンラインで実施し、成果につなげる。自己分析作業から始まり、キャリアプランの設定、職務経歴書の書き方、模擬面接など、多岐にわたりアドバイスを重ねることで、ふさわしい求人先と合致させる。
再就職支援サービスは通常、依頼主となる企業が再就職を支援する会社へ一定料金(1人当たり50万~150万円)の手数料を支払うが、アイ・エヌ・ジー・エンタープライズでは、離職者が再就職先に内定した場合に限り料金が発生する成果報酬制のため、採用に至らない場合は費用はかからない。
東京オリンピックの需要を見込んでホテル建設を進めている企業には、異業種からの新規参入者も多く、今後、宿泊業に精通した人材のニーズは高まるとみられる。
一方、コロナ禍の影響で従来のホテルは、稼働率が軒並み5%~20%程度で推移。宴会やレストランの需要も一気に冷え込み、経営破たんに追い込まれたホテルや旅館は少なくない。アイ・エヌ・ジー・エンタープライズには求人・求職についての相談が増えてきており、これが新サービスにつながった。