新型コロナウイルスの感染拡大の影響でテレワークによる在宅勤務が定着化しているが、なかには出勤せざるを得ないビジネスパーソンもいる。
会社に行かなければならない、でも、込んだ電車やバスには乗りたくない――。そこで新たな通勤の足として注目されているのが自転車だ。やはり新型コロナの影響で増えたフードデリバリー需要と相まって、街には自転車ニーズが高まっている。
利用経路を好みで設定できる
通勤やデリバリーに自転車を利用する人が増えるなか、一方でここ数年は街頭に設置してあるシェアサイクルが使われることも少なくない。
そこで、公共交通の経路検索エンジン「駅すぱあと」を提供している株式会社ヴァル研究所(東京都杉並区)は、新サービスとして、複合経路検索サイト「mixway(ミクスウェイ)」にシェアサイクル向けの検索補助機能「自転車の利用距離の設定」「シェアサイクル利用経路だけ探す」を追加。「3密」を避ける移動手段としてシェアサイクルの利用をアシストする。2020年7月20日の発表。
「自転車の利用距離の設定」は、シェアサイクル利用経路で、自転車の利用距離の上限を設定できる機能。天候や利用者の状態・状況によって、利用者自身が思う「自転車で走れる距離」の好み・感覚をもとに設定でき、1~10キロメートルの幅で1キロごとに選択できる。
「シェアサイクル利用経路だけ探す」は、複数の経路検索結果からシェアサイクルの利用経路だけを抽出する機能。たとえば、自転車の利用距離の設定を越えてシェアサイクルを利用した場合、この機能を使うと公共交通機関の経路を除いた、設定距離をカバーしてシェアサイクルが利用できる経路を表示する。
ヴァル研究所では、新サービスについて「比較的空いている早朝や昼頃は公共交通機関を使い、通勤・帰宅ラッシュで混雑が予想される時間帯ではシェアサイクルの利用を検討するなど、移動様式を変える、新しい選択肢を考えるきっかけにしてほしい」としている。
「感染リスク下がる」実感派が約9割
新型コロナウイルスの影響で、自転車通勤を始めたという人は少なくない。au損害保険が2020年6月19日から4日間、自転車通勤する男女500人にアンケート調査を行ったところ、新型コロナをきっかけに自転車通勤が始めた人は115人(23%)で、ほぼすべての人が感染防止を目的にしていた。
アンケートの対象は、週1回以上、自宅と勤務先を自転車通勤しており、かつ勤務先から自転車通勤を認められている東京在住の会社員。自転車で通勤することによって公共交通機関で通勤するよりも新型コロナの感染リスクが下がっていると感じるかどうかを聞いたところ(単一回答)、「感じる」60.8%(304人)と「やや感じる」27.2%(136人)を合わせた計88.0%(440人)が、感染防止効果を実感していることがわかった。