コロナ禍のなか、来場者が安心・安全に楽しめるようにソーシャルディスタンスが求められるテーマパークにあって、長崎県佐世保市のハウステンボスは、「日傘」で一定の距離を保ってもらうことを提案。なかでも、男性客も日傘をさすことで「自然と距離が保てる」とソーシャルディスタンスを促す、「日傘男子」を推奨する。
ハウステンボスは、いち早く「日傘でソーシャルディスタンス」の取り組みを進めていた、レイングッズの企画・製造、卸販売のワールドパーティー(大阪市住吉区、Wpc.〈TM〉)の普及活動に賛同。同社とのコラボレーションで、「日傘でソーシャルディスタンス」と熱中症対策を実現して来場者に快適に、楽しく過ごしてもらう。
お互いの日傘で「2メートル」の距離を確保
ハウステンボスは、日傘男子の推奨を「『日本一の広さ』を誇るテーマパークならではの安全対策」とし、「自然と距離を保てる日傘を男性にも持っていただくことで、感染症予防をさらに高められる」と、その理由を明かす。
2020年8月1日からは、日傘男子を広めることを目的とした「#日傘男子 SNSキャンペーン」を開催(31日まで)。「熱中症から自分をまもり、社会的距離を保つ。わたしたちにできることは身近にあります。日傘男子をみんなでひろめよう!」と呼びかける。参加者が啓発活動の一員となることで、社会的距離を保つことの普及を目指す。
さらに、日傘男子を広めるため、ハウステンボス内の10か所でWpc.(TM)の日傘を購入(男性限定)すると、場内で使える500円クーポンをプレゼントする。
厚生労働省は新型コロナウイルスの感染防止策として、相手との距離を2メートル程度確保するソーシャルディスタンスを推奨しているが、緊急事態宣言の解除後の日常生活をみると、無意識に人との距離が近づいているケースも多く存在している。
「日傘男子」は、暑さ対策として熱中症のリスクを減らすため、女性だけではなく、「男性にも日傘の使用を」と、環境省などの呼びかけではじまった。2018年には、「日本一暑い町 熊谷市」がある埼玉県の職員が「日傘男子広め隊」を結成するなど、日傘男子を推奨する機運が高まった。
環境省によると、女性の69.8%が日傘を使うのに対して男性は14.3%にとどまる(2018年調査)が、日本百貨店協会や日本洋傘進行協議会などの後押しもあって、日傘男子はジワジワ広がっている。
そうしたなか、政府は「新しい生活様式」の中で「経済を動かす」方針から、「GoToトラベル キャンペーン」がスタート。東京を除外したとはいえ、県境を越える人の移動が始まった。多くのテーマパークで多くの来場者が期待されるが、その一方で感染防止策は各テーマパークや観光施設に委ねられている。
ワールドパーティー社によると、日傘の半径は50センチメートルほどで、傘の先端は近づきすぎると危ないので自然と1メートルほど距離を確保できる。お互いが日傘をさせば、2メートルほどの距離が保てるという。