「安倍首相は国民の怒りを買った」だけで1.7兆円はムダに!
「Go Toトラベル」キャンペーンの内容よりも、世論の反発にフォーカスしたのが米ニューヨーク・タイムズ紙です。ほとんど「無理筋」のキャンペーンが日本国内でいかに「不人気か」を強烈な見出しで伝えています。
Big Majority of Japanese Reject Government Tourism Campaign Amid New Coronavirus Fears
(日本人の大多数は、コロナ第2波に怯えるなかでの旅行キャンペーンを拒絶している)
「reject」は、「拒否する」「拒絶する」「却下する」といった強く否定する気持ちを表す単語です。ニューヨーク・タイムズ紙は、80%近い回答者がこの時期に「Go Toキャンペーン」を実施することに反対したという「世論調査」の結果を紹介。「観光客が押し寄せることで、医療体制が脆弱な地方に感染が広がるのではないか」という国民の不安を強調する結果だ、と論じています。
ロイター通信は、「Go Toトラベル」をめぐるドタバタ劇が安倍政権に与える影響にフォーカスしていました。
Japan's Abe faces anger over tourism subsidy as Tokyo COVID-19 cases hit record
(日本の安倍首相は、東京のコロナ感染者が最多記録を更新するなかでの旅行補助策で、国民の怒りを買っている)
ロイター通信は、「Abe has borne the brunt of the negative reaction」(安倍首相が批判の矢面に立たされている)だけでなく、コロナウイルス対策への批判がさらに高まり、「首相の支持が浸食されている(支持が落ち込んでいる)」と報じています。
さらに、「Go Toトラベルキャンペーン」は、「the number of examples of Abe's incompetence in governing」(安倍首相の数々の無能な政策)に新たに加わった「愚策」、という大学教授のコメントを紹介。アベノマスクや「10万円給付金」をめぐる政府の混乱ぶりもしっかりと伝えていました。
残念なことに、安倍政権が他国よりも踏み込んで実施した「看板政策」の「GoToトラベルキャンペーン」は、これまでの報道を見る限り、海外からも「冷たい目」で見られているようです。
ロックダウンを解除した海外では、観光地になかなか観光客が戻ってこないとニュースになっています。それでも日本政府のように、「この時期に無理を押して」観光客誘致に乗り出す例は見かけません。
1.7兆円もの大規模予算をつぎ込んでも混乱と批判を招くばかりでは、税金の使い方としてあまりにもずさん過ぎ。感染拡大も心配ですし、度重なる安倍政権の「コロナ失策」の中でも、歴史に残る「愚策」になるのではないでしょうか。(井津川倫子)